筋トレは気分の落ち込みの回復やメンタルケアに効果的といわれています。そのため、「うつ病などの精神疾患にも、効果があるのでは?」と気になる方もいるでしょう。
筋トレをするとやる気や幸福感、意欲向上につながるホルモンが分泌されるため、うつ病の予防効果は期待できるでしょう。しかし実際にうつ病になった場合は、医師に相談することをおすすめします。筋トレでうつ病を治すのは難しいのですが、メンタルケアや予防として実践してみてください。
この記事では、筋トレでうつ病を予防できる理由や、筋トレをする際のポイントを解説。おすすのトレーニングも紹介しますので、参考にしてください。
目次
筋トレでうつ病を予防できる理由
筋トレでうつ病を予防できる理由は次のとおりです。
- ストレスを解消できるから
- 幸せホルモンが分泌されるから
- ポジティブな気持ちになれるから
- 自信が付くから
- よく眠れるから
それぞれについて詳しく解説します。
ストレスを解消できるから
筋トレをすると、セロトニンと呼ばれる脳内物質が分泌されます。セロトニンには精神を安定させたり、気分を高揚させたりする作用があるのです。メンタル面で落ち込んだ状態を回復できるので、ストレス解消にもつながるでしょう。
幸せホルモンが分泌されるから
筋トレをすると幸せホルモンと呼ばれるドーパミンが放出されます。ドーパミンが放出されると、モチベーションも向上。
ドーパミンはアルコールを飲んだ際にも放出される気分がよくなるホルモンです。飲み過ぎている場合は、運動を取り入れてアルコール量を減らすのもよいのではないでしょうか。
ポジティブな気持ちになれるから
セロトニンやドーパミンには、ポジティブで前向きな気持ちにさせる効果があります。筋トレでポジティブ思考になると、物事をよい方向に捉えられるようになり、うつや気分の落ち込みを軽減できるでしょう。失敗をしても心が折れにくくなり、心がタフになります。
自信が付くから
筋トレをすると男性ホルモンのテストステロンと呼ばれるホルモンが分泌されます。テストステロンが分泌すると、意欲が向上し、自信がついて積極的に行動できるようになるのです。意欲向上で気分が落ち込みにくく、うつ病を予防できます。
またテストステロンは女性が筋トレをした場合も分泌されます。そのため、気分が優れない女性も積極的に筋トレをするとよいでしょう。ハードなトレーニングをした方が、テストステロンが分泌されやすいといわれています。
よく眠れるから
筋トレをするとアデノシンと呼ばれる睡眠物質が作られます。アデノシンの作用でよく眠れるようになると、イライラしたり、疲労がたまったりすることが減るでしょう。結果的に、うつ病のリスクも軽減できると考えられます。
メンタルケアとして筋トレをする場合のポイント
メンタルケアとして筋トレをする場合、やり方が悪いとうつの状態が悪化したり、効果が出なかったりします。効果的にメンタルケアするために、次の点に注意して筋トレを実践してください。
- 無理に頑張らない
- 他人と比べない
- 長く続ける
- バランスの良い食事を心がける
各項目について詳しく解説します。
無理に頑張らない
うつ病予防のために筋トレをする場合は、無理に頑張らないほうがよいでしょう。うつ病を予防するために、筋トレの量や強度は関係ないと報告されています。また筋トレではなくても、ストレッチや呼吸法などの軽い運動でも、うつ病への効果が認められたとも報告されています。(参考:抑うつ改善に及ぼす運動の効果|永松 俊哉)
またうつ病の改善と、筋肉量にも相関がないことがわかっています。無理に頑張らずに、自分のペースで筋トレを行うことが大切です。また筋トレが合わない場合は、ストレッチや呼吸などの別の運動も検討した方がよいでしょう。
他人と比べない
筋トレの結果について、他人と比べないようにしましょう。他人と比べると、劣等感を抱き、悩みを招く可能性があります。
とくにうつ気味の場合は、比較してもポジティブになれずに、自分を卑下する可能性があります。気分が落ち込んで、ストレスを抱えるかもしれません。
他人と比べずに、過去の自分と比べて筋トレの成果を図るとよいでしょう。たとえば体重が減ったり、スタイルが良くなったりしたことを少しでも実感すると、筋トレが楽しくなりますよ。
長く続ける
筋トレの成果を実感するためには、続けることが大切。筋トレの効果が出るまでに3か月かかることもあるため、気長に続けるようにしましょう。長い場合は、効果の実感までに半年を要することも。短期間で成果を出そうとせずに、焦らず取り組むとよいでしょう。
バランスの良い食事を心がける
筋トレの成果を実感するためには、バランスのよい食事を心がけてください。とくに、筋肉の材料となるたんぱく質は積極的に摂取しましょう。健康な生活を送るためには、PFCバランスの整った食事を目指してください。
PFCバランスの整った食事とは、たんぱく質と脂質、糖質のバランスが整った食事です。食事管理については、ジムのトレーナーなども詳しいため、筋トレと一緒に相談してみるのもおすすめです。
筋トレ初心者がジムに通う頻度
初心者が筋トレをするために、ジムに通う場合、毎日である必要はありません。はじめは体を徐々に慣らしながら、筋肉痛になったら2~3日休んで徐々に鍛えていくとケガをせずに済みます。
筋トレに慣れてきて、本格的に鍛えたい場合は、週6日程度のジム通いでもよいでしょう。筋トレがつらい場合は、有酸素運動もうつ病の予防になります。トレーニング頻度についても、ジムのトレーナーに相談すると、適切なアドバイスを受け取れるでしょう。
全身で動く!うつ予防やメンタルケアにおすすめの筋トレ3選
メンタルケアのために筋トレをする場合は、全身を使った運動でバランスよく鍛えるとよいでしょう。無理をしない範囲で、息が切れるくらいにトレーニングすると効果的です。ここでは、息が切れる程度のトレーニングを3つ紹介します。
- サイドニ―アップ
- ジャンピングジャック
- バーピー
軽い運動から順にお伝えしますので、レベルに応じて使い分けてみてください。
サイドニーアップ
サイドニーアップのやり方は次のとおりです。
- 姿勢をまっすぐにして立つ
- 胸の前で手の指を交差させて組む
- 肘を横に開く
- 股関節と膝を曲げ、足を横に開く
- 足を開いた際に、膝が肘に付く程度の高さまで上げる
- 左右を交互に繰り返す
- 左右の各20回を3セット行う
サイドニーアップは音が静かな室内トレーニングなので、マンションでもできます。動きもそれほどハードではないため、初心者はサイドニーアップからはじめるとよいでしょう。
ジャンピングジャック
ジャンピングジャックは次のように実践してみてください。
- 両足を閉じてまっすぐに立つ
- 力を抜いて両手を体の横に置く
- 体をまっすぐにして前を向く
- ジャンプするのと同時に両手と両足を開く
- 開いた両手は頭上まで上げる
- 4番と5番を繰り返す
- 1セット10回を3セット繰り返す
ジャンピングジャックは心肺機能の向上や運動前のウォーミングアップとしてもおすすめです。
バーピー
バーピーのやり方は次のとおりです。
- 地面に直立する
- 直立からうつぶせの状態になり腕立て伏せのように胸をつけた姿勢になる
- 腕を伸ばし体を起こしジャンプする
- ジャンプする際に両腕を上げて頭上で両手を叩く
- 再び地面にうつぶせの状態になる
- 1~5の動作を繰り返す
- 1セット10回を3セット行う
バーピーはHIITの代表的な運動で、動きが激しくハードなトレーニングです。慣れないうちから頑張り過ぎると気分が悪くなることもあるため注意してください。初心者の場合は、まずはサイドニーアップやジャンピングジャックで慣らしたあとに、バーピーを実践することをおすすめします。
うつ病になったら医師に相談
本格的なうつ病が疑われる場合は、筋トレをする前に医療機関を受診しましょう。筋トレはうつ病の治療にはならないので、注意が必要です。
ここでは、厚生労働省が運営する「みんなのメンタルヘルス」を参考にうつ病のサインを紹介します。医師に相談する目安として参考にしてください。
周囲からわかるうつ病のサイン
周囲からわかるうつ病のサインは次のとおりです。
- 暗い表情をしている
- 自分を責めることが多い
- 落ち着きがない
- 飲酒量が多い
- 反応や返事が遅い
- 涙もろくなった
以上のような状態がいままで無かったにも関わらず、急に現れはじめたら注意が必要です。
自覚できるうつ病のサイン
自覚できるうつ病のサインは次のとおりです。
- 食欲がない
- 眠れない
- 異常に寝てしまう
- 体がだるい
- 疲れやすい
- 頭痛がする
- 肩こりがする
- 胃腸の調子が悪い
- めまいがする
- 動悸がする
- 性欲がない
以上のようなことで、これまでとは違った感覚を自覚した場合は医師への相談を検討した方がよいでしょう。
自分に合った筋トレでうつ病を予防しよう!
筋トレをすると、メンタルケアやうつ病の予防をできます。なぜなら、やる気アップや幸せ、意欲向上などの人間をポジティブな感情にさせるホルモンや神経伝達物質が分泌されるからです。
しかしジムで筋トレをする場合は、無理をしないことが大切。食事管理をしながら、適度な強度で筋トレをしましょう。効率的で無理のない筋トレをしたい場合は、パーソナルジムを利用するのもおすすめです。
パーソナルジムであれば、個別に指導してもらえるので、筋トレのモチベーションも維持しやすいでしょう。
筋トレによるメンタルケアを動画で確認!
ライター/鍼灸師/柔道整復師/
前職は鍼灸師・柔道整復師として鍼灸整骨院を運営。約10年の臨床経験を積んだ後にライターに転身。 医療や健康、美容メディアを中心に多数の記事を執筆している。
・「トレーニングで人生を変える!」パーソナルトレーナー・えみりーが語る、”頑張りすぎないでいい”トレーニング習慣とは?
・「いじめられている自分自身が嫌だった」芸能人御用達パーソナルトレーナー・ビースト村山が語る ”人生を変えるボディメイク” とは?