ベンチプレスは、大胸筋をメインとした大人気のトレーニング種目です。特に男性の方で取り組んでいる方は多いのではないでしょうか?
しかし、ベンチプレスは正しいフォームを作るのが非常に難しく、左右差や傾きが生じるため違和感を感じながら行っている方もたくさんいるはずです。
本記事では、ベンチプレスで左右差や傾きが生じる理由や、その場合にぜひ試してほしいベンチプレスのやり方について、現役トレーナーの私が解説していきます。
目次
ベンチプレスに左右差があるとダメなのか?
実際、ベンチプレスには多少の左右差は問題ないと言えるでしょう。
そもそも、人間の身体は、内臓の位置も異なれば、日常生活においても利き腕や利き足もあるため多少の左右差が生じるものです。
そのため、ベンチプレスだけが全く左右差がなく動作できるというのはほとんどの確率であり得ません。
しかし、その左右差や傾きが悪化しすぎると、肩の怪我を引き起こしたり、そもそもベンチプレスの重量が伸びないなどの問題が出てきます。
ベンチプレスに左右差が生まれる理由
結論、ベンチプレスを行う際に左右差が生まれる理由は以下の通りです。
- 肩甲骨が歪んでいる
- 骨盤が歪んでいる
- 手首が硬い
ここではそれぞれの理由について詳しく解説していきます。
肩甲骨が歪んでいる
ベンチプレスは、肩甲骨を寄せて、胸を張った状態で行う種目です。
ですが、肩甲骨周りの筋群(僧帽筋や菱形筋など)が片方だけ固かったりなどの理由で、大体の人は肩甲骨を均等に寄せることができないケースが多いです。
つまり、ベンチプレスで肩甲骨を寄せる際にも、左右の肩甲骨の寄り方が左右差が生じるために、バーを担いでいると傾きが生じると言えるでしょう。
また、ベンチプレスは手幅によっても、この肩甲骨の左右差に影響してきます。
例えばワイドグリップ(手幅が広い状態)で行うと、肩甲骨は寄せやすくなるため、より左右差や傾きが生じやすくなります。
骨盤が歪んでいる
ベンチプレスは、基本的なフォームとしては足を地面につけて動作を行います。
その際、大体の人は地面についている足が左右とも同じ角度、同じ位置に足を置けていないことがほとんどです。
これは、骨盤がどちらかに傾いていたり、ベンチにつけているお尻が片方だけついていたり(骨盤の重心がずれているため)するためです。
このように、骨盤が歪んだ状態で寝たベンチプレスを行うと、上半身(肩甲骨・肋骨周り)でその歪みのバランスを調整しようとするため、今度は上半身が歪んできます。
ベンチプレスは上半身の種目なので、下半身の意識が薄れることがよくありますが、実は骨盤周りの歪みを調整することもとても重要なのです。
手首が硬い
ベンチプレスは胸を張って、肩を下げて行うことで肩の怪我を起こすことなく動作することができます。
その際、手首を立てると、肩を下げて、ブリッジを組む姿勢が組みづらいので、軽く手首を寝かせることがポイントとなります。
しかし、手首が硬かったり、手首のコントロールができないと逆に手首が痛くなったり、そもそも手首を寝かせることができなかったりします。
また、この時によくあるのが、右手は手首が立っていて左手は手首が寝ているなどのケースです。こうなってくると、肩甲骨や骨盤の歪みにも直結し、結果的にバーが左右ずれてしまったりといったことになってしまうのです。
ベンチプレスの左右差を極力低減させる方法
ここまでベンチプレスの左右差が生じる理由について解説してきました。
そこで、その左右差を低減させる方法については、以下のような、左右差が生じる理由を取り除いていくことが重要です。
- 肩甲骨周りのウォームアップを行う
- 腰回りのストレッチを行う
- 手首のストレッチを行う
それでは、それぞれについて詳しく解説していきます。
肩甲骨周りのウォームアップを行う
ベンチプレスを行う前に、肩甲骨周りのウォームアップとしてラットプルダウンを行いましょう。
ラットプルダウンを行うことで、僧帽筋や菱形筋、広背筋などの肩甲骨の動きをサポートする筋肉が動くため、それらの筋肉がほぐれたり可動域が取りやすくなります。
つまり、肩甲骨を寄せる際の歪みが低減されやすくなるので、ベンチプレスで肩甲骨を寄せる際にも歪みが低減すると言えるでしょう。
この時注意して欲しいのは、あくまで、ウォーミングアップとしてのラットプルダウンのため、お守りを増やしすぎず、肩甲骨の動きが意識できるように20回を2セットなど行うと良いでしょう。
また、ラットプルダウンだけでなく、タオルでラットプルダウンのような動きを行ったり、何も持たず肩甲骨を「ギュッ」と寄せるだけでも同様な効果が得られます。
もちろん、肩甲骨を寄せるだけの動き以外にも、マッサージボールで肩甲骨周りをほぐしたり、肩周りのストレッチを行うことも重要です。
腰回りのストレッチを行う
骨盤の歪みからベンチプレスの左右差が生じないために、骨盤の傾きを抑えるストレッチを取り入れることが重要です。
そのためのストレッチはたくさんありますが、ここでは、簡単にできるベンチプレス前のストレッチとして、1種類のみお伝えします。
実際に私もこのストレッチをするだけで、ベンチプレス時の骨盤の歪みを抑えられ、安定して動作することができています。
開脚の姿勢から、片足だけを畳んだ状態を作ります。
その後、畳んでいる側の腕を反対の足へ目掛けて伸ばしていきましょう。
この際、目線は伸ばしている腕の脇の下から天井を覗き込む意識で行うことで、より腰回りの伸びを感じやすくなります。
手首のストレッチを行う
手首のストレッチをすることで、ブリッジを組みやすい手首の角度(軽く寝かせる)を作ることができます。
また、左右の手首のバランスを整えることで、肩甲骨の歪みを抑え、肩の怪我を予防することもできるので、ここでは手首のストレッチの方法もご紹介します。
体は四つ這いの姿勢。
肘をしっかり伸ばした状態で手を地面につけたら、そのまま前に体重をかけていきます。
手のひらを反対に向けて、今度は後ろに体重をかけていきましょう。
この時も肘はしっかり伸ばすように意識してください。
次に、グーを作った状態で地面に置き、肘を伸ばしていきます。
次に腕の角度を変えて、同様に肘を伸ばしましょう。
最後に指もストレッチします。
指を伸ばすことで手首の柔軟性を向上することができます。
左右差がある方へおすすめのベンチプレス
ベンチプレスで左右差が生じる理由や、その改善方法をお伝えしてきました。
ここまで記載したことを実践することで、歪みの少ないベンチプレスを行うことができるでしょう。
それに加えて、ここでは、左右差がある方にぜひやってほしいベンチプレスがあるのでご紹介します。
足上げベンチプレス
この種目は、足を上げることで骨盤の歪みを最大限抑えた状態でベンチプレスを行うことができます。
実は、肩甲骨周りの歪みや手首の硬さを取るのは事前のウォームアップで比較的対応することができますが、骨盤の歪みはなかなかしぶとく、事前のストレッチなどでも歪みを取ることが難しい場合があります。
ここで紹介する足上げベンチプレスを行うことで、骨盤の歪みを抑えた状態でできるため、筋力を最大限出したいメインのベンチプレスをやる前のウォームアップや、メインのベンチプレス後の追い込みのセットとして活用していただけます。
メインのベンチプレスだけで行うと自分の癖がどんどんひどくなってしまうことがあるので、ぜひここで紹介するやり方も試し、左右差の改善に取り組んでみてください。
まずは、柔らかいボールを内腿に挟んでいきます。
ボールを挟むことでより、骨盤の歪みを抑えていきます。
バーをラックアップする前に、骨盤を安定させ、左右のお尻が均等にベンチに乗っていることを意識してから動作を始めます。
この時、お尻が均等に乗っていることがわかってから、肩甲骨を軽く寄せていきましょう。
先に肩甲骨を寄せてしまうと、骨盤が歪んだ状態で肩甲骨を寄せることになってしまうため、左右差が生じやすくなってしまいます。
ベンチプレスの動作時は、整えた骨盤が歪むことはないため、肩甲骨の歪みに影響することなく動作をすることができます。
ベンチプレスに左右差がある方へオススメのアイテム
ベンチプレスで左右差が気になる方は、以下のようなグッズを取り入れることをお勧めします。
リストラップ
目的:手首の歪みからくる左右差を改善できる。
グロングのリストラップは、手首をサポートするのにちょうどいい硬さのもので、値段も安いためにお勧めです。
耐久性も抜群でしたよ。
マッサージボール
目的:肩甲骨の歪みや骨盤の歪みを改善するために使用
ここで紹介するトリガーポイントのマッサージボールは、肩甲骨の内側や、お尻の筋肉に当てる際に効きやすいちょうどいいサイズになっています。
ベンチプレス前に肩甲骨の内側に入れて、仰向けに寝ながら肩を動かすととてもほぐれますよ。
まとめ
ベンチプレスの左右差が生じる主な理由としては、
- 肩甲骨が歪んでいる
- 骨盤が歪んでいる
- 手首が硬い
の3つと言えます。
ただ、多少の左右差や傾きなどの歪みは人間の構造上あることなので、あまりにもひどくならないように本記事で紹介した改善方法を試してみてください。
また、足上げベンチプレスは骨盤の歪みを抑えながらベンチプレスをすることができるので、歪みが気になって集中できない人にはとてもおすすめです。
ぜひ試してみて下さい。
笹森大生
(ささもり・だいせい)
・NSCA認定パーソナルトレーナー
・トーキョーフィットネス株式会社 代表
・T-Fitness 事業責任者
大手フィットネスクラブで、テレビ出演なども経験し、東京・外苑前のパーソナルジム立ち上げを経験。
年間1,500本のパーソナルトレーニング指導を行うと同時に、「個々にあったジムを正しく選んでほしい」という考えから、当メディアを開設。
これまで、都内を中心に200店舗以上のパーソナルジム・フィットネスジムをご紹介・トレーニング指導をプロとして行ってきた私が忖度なしで本音で解説。