ダイエットを効果的に進めるためには、食物繊維が重要な役割を果たします。
この記事では、食物繊維がなぜダイエットに効果的なのか、その理由と取り入れ方について詳しく解説します。
目次
食物繊維がダイエットに効果的な理由
食物繊維を摂取すると以下の理由からダイエット効果があると言え、痩せるための手助けになると言えます。
- 腸内環境を改善する
- 血糖値の上昇を抑制する
- 排泄を促進する
ここでは、それぞれの理由についてエビデンス(論文)を用いて詳しく解説します。
腸内環境を改善する
食物繊維の摂取は腸内環境を改善するため、ダイエット効果があるということが研究結果※1で明らかになっています。
まず、食物繊維は腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸(SCFAs)を産生します。短鎖脂肪酸は腸内で発酵によって生成され、エネルギー代謝や炎症反応の調節に重要な役割を果たします。
特に酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸は、エネルギー代謝を促進し、脂肪の蓄積を抑制する働きがあります。これにより、食物繊維の摂取が肥満予防やダイエット効果に寄与するのです。
実際、腸内細菌の構成は食事内容によって大きく影響されます。
高脂肪食は腸内細菌叢のバランスを崩し、ディスバイオーシス(細菌叢の乱れ)を引き起こします。ディスバイオーシスは腸内の炎症を増加させ、肥満や関連疾患のリスクを高めます。
これに対し、食物繊維を豊富に含む食事は腸内細菌叢の多様性を保ち、健康的なバランスを維持します。
特に、「Faecalibacterium prausnitzii(フェーカリバクテリウム・プラウスニッツィ)」や「Akkermansia muciniphila(アッカーマンシア・ムシニフィラ)」といった有益な細菌の増加が観察されており、これらの細菌は抗炎症作用を持ち、腸内の健康を維持することでダイエット効果を促進します。
食物繊維の摂取は肥満の予防・改善だけでなく、腸内の健康維持にも寄与するため、積極的に摂取することが推奨されます。
血糖値の上昇を抑制する
食物繊維は、血糖値の急上昇を防ぎ、インスリンの分泌を抑える効果があります。これにより、脂肪の蓄積を防ぐことができます。
インスリンは血糖値が急上昇すると、大量に分泌されますが、タンパク質を合成しやすくなるため筋肉の成長が促されるなどのメリットもありますが、脂肪が蓄積されやすくなるというデメリットの方が大きいと言えます。
そこで、食物繊維を摂取することで、血糖値の上昇が緩やかになり、インスリンの分泌も抑えられます。結果として、脂肪の蓄積を防ぎ、ダイエット効果を高めることができると言えるでしょう。
排泄を促進する
食物繊維は腸管の蠕動運動を促進し、便秘の予防・改善にも役立ちます。※1これにより、腸内の老廃物がスムーズに排出され、腸内環境が改善されます。
肥満者には便秘症が多く見られることが報告されていますが、これは高脂肪食による腸内細菌叢の乱れや腸管粘液の減少が原因とされています。
食物繊維は胆汁酸を吸着し、大腸に届ける作用があります。胆汁酸は腸管蠕動運動を促進するため、食物繊維の摂取が不足すると蠕動運動が低下し、便秘を引き起こしやすくなります。食物繊維を十分に摂取することで、胆汁酸の働きが活性化され、腸内環境が改善されるのです。
また、食物繊維は脂質や糖質を吸着し、体外へ排出する働きもあると言われています。
これらのことから、食物繊維を多く含む食事を摂ることで、肥満の予防や改善が期待できます。
参考文献:(※1) 内藤裕二, 髙木智久, 井上亮. 肥満と腸内細菌: 腸内環境からみた下部消化管疾患. 日本消化器病学会雑誌. 2021; 118(6): 525-531.
食物繊維の摂取方法
食物繊維の摂取方法については、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品、果物、野菜、ナッツ、豆類など、さまざまな食材をバランスよく摂ることが推奨されています。これにより、腸内細菌の多様性が増し、腸内環境がさらに良くなると言えるでしょう。
野菜類
キャベツ、ブロッコリー、ほうれん草などの緑黄色野菜には多くの食物繊維が含まれています。緑黄色野菜には、ビタミンやミネラルも豊富に含まれており、健康的なダイエットに最適です。特に、キャベツは低カロリーで食物繊維が豊富なので、ダイエット中の食事に取り入れやすい食材です。
ブロッコリーは、ビタミンCや食物繊維が豊富で、免疫力向上にも効果が期待できます。ほうれん草は、鉄分や葉酸が豊富で、貧血予防にも効果があります。
きのこ類
しいたけ、えのき、まいたけなどのきのこ類も食物繊維が豊富です。きのこ類は、低カロリーで食物繊維が豊富なので、ダイエット中の食事に取り入れやすい食材です。
特に、しいたけは、β-グルカンという食物繊維の一種が豊富で、免疫力向上に効果が期待できます。
えのきは、低カロリーで食物繊維が豊富なので、ダイエット中の食事に取り入れやすい食材です。
まいたけは、キノコの中でも食物繊維が豊富で、コレステロール値を下げる効果も期待できます。
豆類
大豆、レンズ豆、ひよこ豆などの豆類も食事に取り入れて、食物繊維をしっかり摂りましょう。豆類は、タンパク質や食物繊維が豊富で、ダイエット中の食事に最適です。
特に、大豆は、タンパク質が豊富で、筋肉量の維持にも役立ちます。
レンズ豆は、食物繊維が豊富で、腸内環境改善に効果が期待できます。
ひよこ豆は、鉄分が豊富で、貧血予防にも効果があります。
ダイエット中の食物繊維の取り入れ方
ここでは、実際にダイエットを行なっている人が食物繊維を取り入れる際に心がけてほしいことについて解説していきます。
バランスの良い食事を心掛ける
食事全体のバランスを考えながら、毎食に食物繊維を取り入れることが重要です。
ダイエット中は、どうしても食事制限をしてしまいがちですが、栄養バランスを崩さないように注意が必要です。
特に、タンパク質やビタミン、ミネラルも不足しないように、バランスの良い食事を心がけましょう。
ゆっくりと食べる
食物繊維が豊富な食品は、しっかり噛んでゆっくり食べることで満腹感を得やすくなります。
ゆっくり食べることで、脳に満腹信号が届きやすくなり、食べ過ぎを防ぐことができます。
また、ゆっくり食べることで、消化吸収がスムーズになり、栄養素が効率よく体に吸収されます。
調理法を工夫する
食物繊維が豊富な食品を使った料理を、色々な調理法で楽しみましょう。例えば、食物繊維は、水に溶けにくい性質があるので、炒め物やスープにすることで、効率よく摂取することができます。
また、その他にもサラダやスムージーなど、色々な方法で取り入れてみましょう。
食物繊維が不足するとどうなる?
最後に、ここまでダイエットには重要と話してきた食物繊維ですが、不足するとどうなるのでしょうか?
しっかり確認し、食物繊維の重要性を再確認するようにしましょう。
便秘になりやすくなる
食物繊維が不足すると、便秘になりやすく、腸内に老廃物が溜まりやすくなります。
便秘は、腸内環境が悪化し、代謝が低下する原因となります。
また、便秘は、肌荒れや吹き出物などの肌トラブルを引き起こすこともあります。
代謝が悪くなる
腸内環境が悪化し、代謝が低下するため、太りやすい体質になってしまいます。
代謝が低下すると、基礎代謝が下がり、消費カロリーが減ってしまいます。
そのため、太りやすく、痩せにくい体質になってしまいます。
血糖値が急上昇しやすくなる
食物繊維が不足すると、血糖値が急上昇しやすくなり、脂肪の蓄積を促進します。血糖値が急上昇すると、インスリンが大量に分泌され、脂肪が蓄積されやすくなります。
また、血糖値の急上昇は、糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めることもあります。
まとめ:食物繊維を意識して摂りましょう
食物繊維は、ダイエットにとって非常に重要な栄養素です。
腸内環境を整え、血糖値の急上昇を防ぎ、排泄を促進するなど多くの利点があります。意識して毎日の食事に取り入れることで、健康的に痩せることができるでしょう。
ただし、食物繊維を過剰に摂取すると、お腹が張ったり、消化不良を起こしたりする可能性もあります。そのため、自分の体調に合わせて、適切な量を摂取するようにしましょう。
笹森大生
(ささもり・だいせい)
・NSCA認定パーソナルトレーナー
・トーキョーフィットネス株式会社 代表
・T-Fitness 事業責任者
大手フィットネスクラブで、テレビ出演なども経験し、東京・外苑前のパーソナルジム立ち上げを経験。
年間1,500本のパーソナルトレーニング指導を行うと同時に、「個々にあったジムを正しく選んでほしい」という考えから、当メディアを開設。
これまで、都内を中心に200店舗以上のパーソナルジム・フィットネスジムをご紹介・トレーニング指導をプロとして行ってきた私が忖度なしで本音で解説。