五味原領(ごみはら・れい)選手はボディビル業界でも圧倒的に”美しい”と称賛されるボディを毎年作り上げている。今日は五味原さんにボディビルに対する考え方と、現在行っている食事方法についてお聞きしてきました。
トレーニングを始めたきっかけ
ーートレーニングを始めたきっかけをお聞かせください
ーー体操競技を行なっていた五味原さんにとって、ボディビルを始めるにはどういった経緯だったのでしょうか?
2017年の学生ボディビルに向けて先輩が頑張る姿を間近で見て、大会で戦っている姿に感動しました。そこで自分も大会に出場しようと決心しました。
そこから、翌年2018年の関東学生ボディビルでデビューして、初出場ながら4位になりました。
この時、右も左も分からない状態での出場だったので、決勝にいければ大満足という思いの中で4位という結果がとても嬉しかったということ。逆に表彰台が見えたことによる悔しさもあり、様々な感情を経験できたんです。この瞬間にボディビルの楽しさに気付きました。
また、1週間後の全国学生ボディビルでは3位となり、どんどんボディビルにのめり込んでいったんです。
ーー学生時代のバーベルクラブや、当時のライバル、またこれらの経験がなかったらここまで成長できなかった?
ここ近年の、世界選手権出場であったり、全日本優勝というものよりも最初のこの二つの大会が一番記憶に残り、心から楽しめた大会でした。
その時に戦った相澤選手、泉選手、長瀬選手や、支えてくれた周りの人々や岡田先生の存在は非常に大きく今でも感謝しています。
怪我と向き合ったからこその成長
ーー五味原さんは怪我が多いという印象がありました。
ボデイビルを始めたのも怪我という理由だったので、ボディビルを始めてからも怪我をし続けているというのも現状です。
ただ、怪我をしても、怪我との向き合い方が良い意味でも、悪い意味でも、数を重ねてわかってきました。
なので怪我をしても毎年成長させてこれていると思います。
ーー逆に怪我をしてよかったという捉え方のように感じます。
怪我をすることで自分のトレーニングや体を見直すきっかけになるので、怪我をする前とした後では大きくアプローチを変えるというのがいつもの手段です。
怪我をする理由というのが自分の弱点になっていたりします。弱点について深く考えることにもつながって、今では見た目上の弱点が少ない体になりました。
しかし大前提として、怪我がないことに越したことはないので怪我を予防するための対策もたくさんとっています。
ーーボディビルダーなどは、怪我などがあっても休まないイメージがありますが、五味原さんの場合は怪我をした後は、トレーニングを休むのでしょうか?
怪我の状況にもよりますが、休むという選択をすることが多いです。
3ヶ月ほどトレーニングをせずに休んだこともありましたが、休んだ年でも身体を成長させることができ、大会でも結果を残すことができています。筋肉を取り戻す手段を知っていれば焦らずに休むことに専念できます。
五味原流 減量方法
ーーー3ヶ月も全くトレーニングがしない時期があるとなると、大会に向けては増量期間がほとんどないように感じます。増量と減量に関してはどのように進めていくのでしょうか?
大会に向けてまず最初2ヶ月間カロリーを上げて、筋肉量を増やそうとする時期を作る。ここでは増量というイメージではなくて、減量のなかの最初のステップです。ここで一気に筋肉量を増やしたいのですが、ここでは高炭水化物、高タンパク質、低脂質です。こうして2ヶ月間過ごすことで、使用重量がどんどん伸び、脂肪が薄くなり、筋肉がパンパンに詰まっていく感覚を掴むことができます。
それで体重が増やそうとしてるわけではないですが、この時に体重が5キロくらい増えます。
ーーそれって減量ですか?(笑)
脂質を抑えていて、体脂肪は増えている感覚はないので、これは減量です(笑)
そこから大会の3ヶ月前くらいになったら、カロリーを設定する減量に入っていきます。
だいたい4000キロカロリーくらいに設定して・・・
ーー4000キロカロリー… それって減量ですか?(笑)
何となくとる4000キロカロリーだとさすがにまずいと思いますが、自分の中で絞るというスイッチを入れて、食べるものを限定した4000キロカロリーだと全然絞れます。
ちなみに今年はこの4000キロカロリーですが昨年は3500キロカロリーでちょうど絞れるくらいでした。大会初出場時は2400キロカロリーでした。仕上がり体重を見ても筋肉量が大幅に増えているわけではないため、体そのものが年々絞れやすくなっていくように感じています。
ーーそこから本格的な減量に入っていくというイメージでしょうか?
中盤から終盤は体重の落ち方を見ながら、カロリーやPFCを調節して減量を進めていきます。使用重量は減量をスタートしても最後の1ヶ月になるまでは上がっていきます。
流石に最後の1ヶ月で使用重量は少し落ちて、しっかり絞れたという状況になります。
トレーニングによって自分自身が変わった
ーーウエイトトレーニングを始めてから、内面的な変化などはあったでしょうか?
ありましたね。
自分が何を優先順位を高く持っていたいとか、そう言ったことがわかるようになり、何か選択しなくてはいけない時に、迷わず選択できるようになりました。
減量やトレーニングというのを通じて自分と向き合う時間が以前よりも長くなったことが大きいと感じます。
大会を目標に長期間頑張るという経験を積めたため、その他の事柄にも同じように目標を持ち、取り組むことが苦では無くなったのです。
そのおかげで、大会に向けて頑張っている期間が終わり、暇だと感じてしまうといてもたってもいられなくなるので、新たな目標をすぐに探し出すようになりました。
ーーそこから変化した行動や考え方はありますか?
自分の目標に対して、どうしたら良いかというアプローチ方法を常に考えるようになりました。
ボディビルもそうですし、長期的な目線も持って準備をしていくということはボディビルも、そのほかの事柄も関係しています。
ーー目標を持つことが大事だと
目標を持って毎日を生きる、というと大袈裟ですが、そうした気持ちを持って行動を続けると自分に良い結果が返ってくると思います。
目標はなにもボディビルである必要はありません。しかしなにも目標がないという方には、目標にしやすいのが体づくりかと思います。
楽しんで取り組んでいるか、本当にしたいことなのかというのが大事だと思います。もしそれがない時はそれに集中することは難しいですよね。
ーー五味原さんの性格にボディビルという競技がマッチしてるイメージがありますね!
競技でなんとしても優勝したいならば競技を第一優先に行動する必要がありますが、競技以外に大切なことがあればバランスを考えながら進める必要があります。大抵の人は後者のはずです。私自身、競技に全てをかけないよう注意し、競技以外に興味を多く持ちバランスを取れるようにしています。
自分の中での優先順位を明確に持つこと、その優先順位に沿って行動を選択していくことが、自分の求めている結果につながる大事な要素だと思います。
お知らせ
<取材協力>
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘2丁目22-22 シフォンコート自由が丘
TEL : 090-4199-4328
営業時間 : 10時~22時 ※時間外応相談
定休日 : 年末年始
アクセス : 東急東横線「自由が丘駅」 徒歩9分
五味原 領 (ごみはら・れい)
- STUDIO BAZOOKA 自由が丘店 店長
- パーソナルトレーナー
日本体育大学卒業後、スタジオバズーカ自由が丘店を中心にパーソナルトレーナーとして活動。
知識や理論だけではなく、トレーニングを上手に行えるようになる思考を育てることを得意としています。
2021 IFBB世界選手権 クラッシックフィジーク4位
2021 ジャパンオープン クラッシックフィジーク オーバーオール優勝
2020 ゴールドジムジャパンカップ クラッシックフィジーク オーバーオール優勝
2019 JOC 全日本ジュニアボディビル選手権 優勝
<Text:斎藤 Photo:秋田、五味原さん提供>
体操競技をやっていて、怪我でリハビリのためにトレーニングセンターに通っていたのですが、そこで出会った大学のバーベルクラブの先輩に勧誘され、2017年の大学2年生の時にスタートしました。