身体の悩みやコンプレックスが理由でトレーニングを始める人が多いと言われています。
パーソナルトレーニングスタジオ LOWMEL (ローメル)代表を務めるパーソナルトレーナーのえみりーこと、柳本絵美(やなぎもと・えみ)さんは元々コンプレックスや悩みが深かった自分自身の人生をトレーニングによって変えてきたといいます。
今回は人気トレーナーのえみりーさんに、パーソナルトレーナーとしての経緯や過去の自分、フィットネスに対する思いについてお聞きしました。
トレーニングを始めたきっかけ
——えみりーさんのフィットネスとの出会いについてお聞かせください。
——トレーニングの始まりはゴールドジムなんですね!
そうですね。厳密に言うと、それまでに普通のジムに行ったことはあったんですけど、結局続かずでした。本格的にトレーニングを始めたのがゴールドジムですね。
当時は精神的に病んでいたし、過食だったので、吐くだけ食べたり、吐くために食べるみたいなこともしてました…。チートどころではなかったんです。食べて口から吐けば、ゼロカロリーだと思ってやっていた時もありました。
今考えると、ものすごく怖いです。
——ジムに行くようになってからは心境や環境の変化はありましたか?
ゴールドジムに行くと、意識の高い方も多くて、女性でもおへそを出したウェアを着ていたり。
キラキラ輝いている人が多くて、私もお臍を出せるくらい綺麗な体になりたい!と思い、よく分からないながらとにかくジムに通い続けました。
そこからは、タンパク質や食事の重要性などを自分で調べるようになり、徐々に食事も改善できるようになっていきました。
今思えば、「なんでやねん!」といった食事をしていた私でしたが、当時の自分からしたらそれしかなかった。それが自分の正義になってしまっていたし、1人暮らしで誰の目にも触れてないので、好きなだけ、何やっても何食べても、何でもいいやといった感じでしたね。
ジムに通って半年くらいで、目に見えて痩せました。痩せてから気づいたのは、自分は意外と細身なんだ、ということです。
習慣を手に入れた達成感と、私も変われるんだ!という確信。
気づかぬ間に自信がついてヘソ出しウェアを着ていましたし、新しい自分と出会えた気持ちになりました。
——そこからパーソナルトレーナーを目指したきっかけなどはありますか?
それから更にボディメイクを本格的にやろうと思いたち、パーソナルジムに通うようになりました。
ジム通いから一年経った頃に初めてのボディコンテスト、ベストボディジャパンへの出場を決意しました。
その頃から過去の自分が抱いていた悩みを解決できる人、頼れる人(トレーナー)になりたいとも思うようになりました。
そこで、所属していた事務所に「私、トレーナーになります!」と宣言して、トレーナーの勉強を始めました。
当時のマネージャーさんは驚いていましたが、「えみりーがやりたいことなら…。」と、背中を押してくれました。
——トレーニングって最初が一番大変ですよね。習慣にするのもそうだし、基礎知識もありません。どのようにトレーニングを覚えていったのでしょうか?
まずはゴールドジムの無料サポートの初心者説明会というものを受けました。
——私もゴールドジムの公認パーソナルトレーナーとして働いているので内容は知っていますが、しっかりトレーナーに教わったということですね!
プロテインも毎回もらえたし、マシンの基本の使い方も教わりました。
そもそもジムに入会しても、自分からトレーナーさんに聞くのは、少し聞きづらかった。それで続かない人って多いと思うんです。
それに行けば自動的に教えてくれる仕組みだったので非常に助かりました。その説明会のおかげで、少しずつ習慣にすることができました。
ボディコンテストに出場
——私がお会いした2018年はもう完全にフィットネスの人間だったイメージがあります。
2017年のベストボディジャパンは日本大会で優勝して、ボディメイクにハマっていました。
ゴールドジムの澤田めぐみさんのパーソナルを受けて、ラスベガスのマッスルマニアを目標にトレーニングに励み、無事その大会で準優勝。その後の東京のマッスルコンテストでも準優勝することができました。
完全にフィットネスな人でしたね。(笑)
パーソナルトレーナーとしての考え
——えみりーさんが大会にバンバンチャレンジしているその時くらいから、大会もいいけど「ライフスタイルとしてのトレーニング習慣が大事」という話をしていた記憶があります。今はどういった考えでトレーナー活動をされていますか?
LOWMELは「身体を創る。未来を創る。」というスローガンを掲げているのですが、これはまさに私がトレーニングを始めてから経験したことでもありました。
身体を作っていく中で、自分の未来も変わっていくんです。
運動やトレーニング、ヨガなどももちろん、一律して言えることは、“自分の時間を作って、自分の身体と向き合う”ということ。
大人になると、自分に向けられている時間って意外となくて、仕事や他者(SNSなども)に向けられている時間の方が多いと思うんです。
パーソナルトレーニングという一つの手段を使うと、その中の1時間や2時間の中で、自分と向き合う時間を作れます。
これが日々の習慣になると、自信がつくし、自分を信じられるようになります。「もっとこういうことがしたい」「こんなことがやってみたい」「あ、こんなことが好きだったんだ」と、自分の“やりたいことや、好きなこと“にも気付くようになります。
——まさにライフスタイルのためのトレーニングといった感じですね!
大会はブームとなり、どんどん広がっていますが、
その結果以前よりも初めての方が大会へチャレンジしづらくなった印象もあります。
私自身も、年間を通して大会に出場した際はもっと筋肉が欲しくて、足は馬みたいにして…。なんてことを常に考えていました。(笑)
そんな中でも、自分のライフスタイルに合わせながら、運動・トレーニングをして、人との付き合いも大切に生活していきたいなと純粋に思う自分がいたんです。
また、トレーナーとしても最初に話した、過食をしている人がいて頼られたときに、サポートができる自分でいたいと考えています。
——私もトレーナー活動をしていると、これからトレーニングを習慣にしたい人は始めるまでの壁がすごい高いのではないかと考えています。現に、「やっぱり鶏肉ばっかり食べるんですか?」「お酒は飲まないんですか?」と聞かれます。やはりそう言うイメージって周りの方は強いですよね。
お酒も飲んでもいいと思うし、人との付き合いも大事にして欲しい。
そういったマインドを持ってからは、楽しくご飯も食べながら、運動をするようになれたし、またそういったお客様も私の周りには増えてきました。
私自身、食事に悩んでいたときは、やりすぎて過食になることもあったので、食に対してもあまり硬いイメージは持って欲しくないですね。
——よくあるのは例えば鶏肉や何か自分で決めたルールをきっちりしすぎて、気持ちがオフになると一気に過食であったり過剰すぎるチートデーをしたりといった人も見受けられます。
糖質制限をして痩せても、そこからの切り替え方がわからずにリバウンドや過食になる方がいます。
なので、常に鶏肉、糖質制限、いつでもカロリーカット、など大会レベルの減量を浸透させるのではなく、鎖を解くじゃないですけど…。もっと気軽に一生続けられる食習慣をつくって欲しいと思って発信しています。
体脂肪率は20%でも腹筋に縦の線も入ります。私はこの間測ったら24%もありました。(笑)
だからこそ、「そんなに頑張らなくていい」と伝えたいです。私もビールが大好きで、めちゃくちゃ飲むし、朝4時まで飲むことだってあるんですから!(笑)
きっと皆さんも、もっと気軽に、そして健全にダイエットできるはずです!
——もちろん、パーソナルトレーナーの中にはえみさんとは逆の考えで、一般の方にも大会レベルでかなり厳しく指導するトレーナーもいると思います。
本人が求めている場合もありますし、厳しいトレーニングも人によってはもちろん大事。ただ目的にあっているかどうかがカギです。
トレーナーとしても目標が高い方に達成できるだけの指導が必要です。
お客様自身もどんどんトレーナーへ自分の思いを伝えて、トレーナーと自分自身の“思い描く理想の姿“に向けたトレーニングの誤差を埋めていかないと、望むような結果がでないと考えています。
——これからパーソナルトレーナーがどんどん増えていくと思います。
本当ですよ!もうレッドオーシャンですよ!
でも、だからこそ選んでもらえる時代だと思っています。パーソナルトレーニングが昔よりは近い存在になっているから。
そしてパーソナルトレーナーはそれぞれ、本当にキャラクターがよく出ています。なのでお客様には、知識があるかないかも見極めて欲しいと思いますし、自分にあったトレーナーを選んで欲しいなと思います。
パーソナルトレーナーになって5年目になるんですが、それまでは中学3年生からずっと女優を目指して芸能活動をしていました。高校も芸能のコースがある学校に通っていて、お恥ずかしながら社会をあまり知らずに生きてきました。
職業も、アイドル、野球のリポーター、グラビア…。と、いろんなことをしてきたのですが、その中でも私はずっと万年のダイエッターでした。
見た目がとても重要だと言われる業界で、痩せろと言われても痩せ方が分からなかったんです。何とかしようと、〇〇だけダイエットとか、〇〇を抜くだけダイエットとか、とにかくいろんなことをチャレンジしてきましたが逆に太ってしまう時期がありました。最終的に23歳になった頃には過食・嘔吐を頻繁に繰り返すようになってしまい、何を食べたらいいのかが一切分からなくなりました。
当時1人暮らしをしていたこともあり、活動も鳴かず飛ばずで病んでしまって、仕事がないからお金もない、でも周りのみんなは社会人になってお金があって…。と、自分を見失っていました。
そのタイミングで私を心配した友達にゴールドジムを紹介してもらったことが始まりでした。