20代半ばより頻発する不定愁訴(ふていしゅうそ:明らかな身体的原因が認められないにも関わらず、頭痛や筋肉痛、腰背部痛、疲労感、腹痛、悪心、食欲不振など多彩な症状を訴え続ける状態)を患ってきたIRERUDAKE株式会社代表の大木卓也(おおき・たくや)さん。自らの苦悩や経験により開発したインソールは今スポーツ業界やフィットネス業界において注目を浴びています。
今回は、大木さんに、インソールを開発まで至った理由や、特許取得もした” RiCAM ニュートラルポジション理論”の効果についてお話を伺ってきました。
目次
IRERUDAKE株式会社について
——今日はなぜフィットネスや健康、体に関することをお仕事として活動されているかをお聞きできればと思います。
——まず初めにIRERUDAKE株式会社の事業についてお聞かせください。
——実際に症例や研究結果があると伺っております。
自社の特許技術のRiCAM(足底三点支持式インソール)の立位および歩行に与える影響を、東京電機大学 工学部機械工学科・准教授 井上淳氏と共同で、検証しました。
検証の結果、RiCAM を使用した際に、立位時の左右の足圧中心が平行になることから、左右で癖の異なる立ち方が改善されることを想定できることがわかったのです。
また、短期的には疲れの軽減などの効果を生み、長期的には骨盤のゆがみや膝の変形予防、改善といったことが期待できることがわかりました。
RiCAMとは?
多くの皆さんが子供時代に経験があると思いますが、竹ぼうきなど棒状の物(以下棒)を手のひらに乗せてバランスをとりながら遊んだことありませんか?
バランスをとるために必要なのは、棒を手のひら中央で受け止め、手のひらが微動調整をしながら棒の重心をうまく保持したと思います。
手のひら全体をきつくテープやサポーター等で固定したり、手のひら中央以外で棒を支えるとどうなるでしょうか?きっと手のひら全体で微動調整できず、棒は重心バランスを失い倒れてしまいます。 バランス遊びに必須な条件は、棒の重心保持の位置と手の微動調整です。
片手27個からなる手の骨が上手く使えることで重心を微動調整しながら、上手くバランスを保つことができます。 実は、足でも立つ・歩く・走る際、片足28個の足の骨を微動調整させることで身体の重心バランスを保持させることが理想だと考えます。
棒とは違い、人は骨・筋肉・腱・関節等の組織で構成されています。 仮に、足の骨全体で上手く微動調整できなくても、 筋肉などを拮抗させ重心バランスを保持することで立つ・歩く・走るを可能とさせていますが、身体に大きな負担がかかると考えます。
現在、国籍問わず多くの人々の重心バランスが踵付近にあることで足が上手く使われておらず、身体に大きな負担(特に軟組織付近)がかかっていると考えます。
RiCAM ニュートラルバランス理論は、足裏に3つの突起の技術を使い、中足部中央に身体の重心点を誘導することで、足全体の28個からなる骨を使えるようにすることができ身体をニュートラルなポジションにすることが出来ます。
IRERUDAKE株式会社ホームページより
原因不明の体調不良を経験。そこからの開発秘話とは?
——大木さんの過去もご教授いただけますか
元々自転車競技を高校から初めて、競輪選手を目指しました。
自分の中で思考的なブレーキがかかってプロにはなれなかったものの、そこそこの成績というのは残せていました。
自転車競技というのは60キロ70キロというスピードで走るのですがその状態でクラッシュしてしまうととても大きな怪我につながる競技です。
私の転機となったのは高校一年生の時でした、練習していたときに前にいる自転車とぶつかって転んだとき、鎖骨と首の頸椎の5番と6番というところを潰してしまいました。結構大きな怪我でしたが当時は大したことがないと思ってやっていました。
しかし、首が歪んだまま歳を重ね、大人になった時には、その状態で身体が形成されていってしまったのです。
その状態に気づいたのは二十歳過ぎくらいになったときでした。梅雨時期や秋、季節の変わり目にくる低気圧による、いわゆる天気痛に悩まされるようになりました。ものすごく頭痛がするようになったのです。
——治療はされたのでしょうか?
病院に行ってもロキソニンを飲まされたりいろんな薬も試したが、一向に良くならず。次は偏頭痛の疑いがあるということで片頭痛の薬を飲んでも治りませんでした。病院もお手上げ状態と言うことです。
何でだろうと悩んでいると、病院の先生からは心療内科に行ってくださいと言われるようになりました。それが僕の中では結構傷ついて精神的なものだろうと疑われてしまったのです。実際に精神的にも疲れていたかとは思いましたが…。
しかし今では僕が一番信頼している整体の先生に診てもらったときに、一気に首や頭の痛みが抜けたんです。
と言うことは慢性的な頭痛は骨格的な問題ではないかと疑うようになりました。
——今では筋肉のケアや筋膜をケアすることで、体の不調が取れるということも一般的に言われるようになっています。
実際に私も磁気ネックレスや筋膜にアプローチできる商品を使うと、体が楽になるのを感じていました。
筋肉や筋膜はほぐれると、一時的には体が楽になり、その結果いつも以上にパフォーマンスが上がり、体に強い刺激を入れることが可能になります。
しかし、骨格の状態は良くなってないので、知らず知らずのうちにもっとバランスが歪んでゆき、最終的に慢性的なものに繋がり、私のように頭痛や吐き気というものになってしまうと考えます。
歯科医師の妻からヒント、重心の重要性。
——筋肉や筋膜というよりももっと違う何かということでしょうか
私の妻が歯科医師をしており、「先輩が噛み合わせ矯正をやっているから一緒に勉強をしに行こう」ということで一緒に行きました。
そこで学んだのは歯から全身へのバランスはかなり大事ということでした。
実際にそこから歯の噛み合わせを改善していったところ、すごく首や頭の状態が良くなったのです。
そこからは1ヶ月に1回くらいしか整体に行かなくても良くなり、この時にこれが私が求めていたことではないかと感じたのです。
これを広めたいと思ったのですが自分は歯科医師ではないため歯科領域からではなく、勉強科で得た知識から、頭の重心と骨盤の重心がキーとわかっていたので、それを支えている足元にアプローチすればいいのではないかと思いインソールの開発を始めました。
従来のインソールもいいものなのですが、もっとそれを簡素化して、誰でも入れるだけで改善される、そんな商品を目指しました。
——私もトレーニングをしているのですが、筋肉をストレッチしたりほぐしたりしても骨や骨盤、それこそ歯などが歪んでるとやっぱり首回りなどがずっといたいんですよね。ただ初めて大木社長とお会いしてIRERUDAKEインソールを使ったときに体に推進力が生まれる感じがありました。そこから、すごく首も楽になった印象です。
歯のところでもう少し話すと、今医学的にマウスピースをつけるとパフォーマンスが上がると言われています。ただ実は明確なエビデンスなどは出ていないのです。どういった理由でどのくらい力が入るという理屈がない状態で付けてる方が多いので、マウスピースの高さや硬さがその人に合っているかどうかもわからないんです。
あと、歯を抜いたり矯正をしたりするだけで体に左右差が必ず生まれます。つまり歯並びをきれいにすればいいという理由だけで歯をいじるのではなく、自分にあった噛み合わせを目指していかなければなりません。実際に私の妻のもとへ来るスポーツ選手で矯正したりインプラントを入れてパフォーマンスがおかしくなる選手も通っています。
つまり、不定愁訴というものは噛み合わせから来ていること、不正咬合からくる全身の筋肉の過緊張が原因の場合が多いと考えます。もちろん頭痛や首のこりに繋がってきます。
多くの人は噛み合わせ、立ち姿勢どちらも、自身の身体ニュートラルポジションがわからないため、身体に様々な歪みおこっていると思っています。
私は足元からアプローチしようと思ったときに、身体のニュートラルポジションの基準線を設けたいと思って始めました。ニュートラルポジションがわからないと治療の方針も明確にならないと思います。
また、トレーナーがトレーニング指導で、スクワットやデッドリフト時の重心の位置をお客様に指導するのって最も難しいですよね。
一般の方だけでなく、トレーナーや医療従事者にも届けたい
——確かに重心の位置がずれているとわかってお客様に説明してもその場ですぐ治すことは難しいです。
先ほども言いましたが、人は性別・年齢・体組成が全く同じ人はいないので、重心の指導をするのは難しいことだと思います。
ただ、RiCAMを使うことによってそれが容易になります。
今現在も、重心のニュートラル、基準線というのをテーマに研究を進めています。
実はこのインタビューの次の週も、頭位・骨盤の重心位置であったり、大胸筋や僧帽筋の筋電図を測って、体への変化の実験をします。
インソールに乗るだけでどれだけ改善ができるかというエビデンスの武装をし、多くの人に知ってもらうこと、そして専門家がまだ知らない世界をお見せしたいと思います。
——従来大木さんが売ってきたインソールに信頼できるエビデンスが加わってみなさんの手元に届くということですね!加えて新しい、商品開発も同時に行われるのでしょうか。
実際にもう次の第二、第三の新商品も出来上がっています。
重心の崩れは立位歩行ができる方の9割5部以上の人が乱れていて、それをどれだけその方々に知ってもらえるか、また、医療につなげられる商品であるかをテーマに進めています。
——トレーナー目線からいうと1日24時間、1年365日の中で、指導できる時間はごくわずかです。もちろん人によってトレーニングに投資する時間は変わってきますが、その中でその方の重心を整えたり、柔軟性から可動性、ストレングスまで鍛え上げるというのは限界があります。
その中で大木社長が提供するIRERUDAKEインソールは、常に矯正できるので、体を改善していきたいという人にはすごく重要なものだと思います。
一般の方だけでなくトレーナーの方にもすごくおすすめなものとなりそうですね。
インソールを使うとニュートラルを作れるため重心を伝えるのが容易だと言いました。トレーナーの方ではオンラインの指導が難しいと考えている人がたくさんいますが、オンラインでスクワットの指導をする際も指導しやすくなると思います。
対面で指導するのが難しい重心が、オンラインでもできるのですから、かなりの優れものです。(笑)
IRERUDAKEインソールを使うことによる効果
——実際に現状売られているIRERUDAKEインソールの直接的な効果を伺ってもよろしいでしょうか。
直接的な効果はうたえないのですが、RiCAMの解説でもお話ししたように、手のひらの骨は27個あって足裏の骨は28個あり、手も足も骨の数はほとんど変わらないのです。
手も足も繊細な動きをするという観点で考えた時に手はもちろん細かい動きをしますが、足に対しても、もっとアプローチしなければいけないのではないかと考えました。
そこから、足裏の真ん中・骨盤・頭が真っ直ぐ繋ぐ重心がないと、足は適切に動けてないのではないか、という発想です。
基本的にかかと重心の人が多いと言われています。かかとに重心が乗ると無理やり骨の位置を倒して体を支えてしまうので、それを筋肉が支えなければいけなくなります。その結果何度も言うように筋肉の過緊張が起こるのです。
つまり靴を履いている人たちの多くは過緊張をして生活していることがわかりました。
インソールでニュートラル状態を作り、過緊張をとるということが目的になります。
——私が初めて付けたとき、体にすごく推進力があるイメージがあったと言いましたが、普段とは違う重心になるので、少し頭痛のようなものが来たり、足がいつもより疲れたりと言うところもありました。
最近、久々に返品が来ました。(笑)
ユーザーからの返品理由が、使用すると頭が痛くなるからと言われました。
根本の重心が変わって筋肉の過緊張が取れると、自分の痛いところや改善しなければいけないところがストレートに体に伝わるようになります。
つまり、インソールのおかげで見えた自分の体の改善点を今後改善できるようになるというところも魅力の一つだと思っています。
あえて言わせていただくと、重心が突然変わると、頭が痛くなる可能性もあるし、視界も変わるし、噛み合わせも最終的に変わると思っています。
例えばインソールを履き始めても腰が痛いという人がいた場合、噛み合わせが悪いと言うことも可能性と考えられるし、首回りが凝っているという仮定ができます。
もちろんですが、正しい重心をある程度の期間続けなければ、体の変化は起こりません。
幼少期にもおすすめな理由と運動神経を改善できる理由
——IRERUDAKEインソールは幅広い方に使って欲しいですね!
実は子供に使って欲しい商品でもあります。
僕の考えでいうと、歯のかみ合わせと足の形成って第1思春期までが勝負と考えています。
第1思春期である10歳前後までの間は3歳3歳3歳ぐらいで区切りがあると考えます。
まず生まれてきて始まることは顎のトレーニングなんです。
お母さんのおっぱいを吸うことで顎を鍛えていきます。そこで柔らかい哺乳瓶を飲んでいたりすると、口腔内の環境形成が遅れたりということにつながってきます。
次の3歳から6歳くらいが足の形成時期になります。そのときに足を使わない動きばかりをしていると扁平足になりやすくなると考えます。
6歳から10歳過ぎまでは歯が乳歯から永久歯に生え変わります。
そうこうしていると、様々なホルモンが分泌され骨なども徐々に固まっていきます。
そこから体を変えていくと言うのはかなり大変なんです。10歳以下までがかなり大事だと考えています。
——始めてお会いした時にいきなり娘さんの動画を見せられた記憶があります。(笑)
私の娘に関しては、当時からこういったことを指導していたというよりも自然にできていたタイプの子でした。
というのも小学二年生で95キロある私をおんぶして歩くことができたんです。
その娘が今、中2になって新技を覚えたのですが、バランスディスクに乗って片足のスクワットができました。平行の床でも難しいですよね。
とはいっても、これは筋力があるかと言うと、全くそんなことでもなく体のバランスでそう言ったことができるようになるんです。
——これらを考えると、スポーツ選手にもすごく相性が合いますね。
最近の子供やアスリートに扁平足が多いと聞きます。これは幼少期の影響が大きいと思っています。逆に幼少期の頃から重心の使い方がうまくできる人を発掘してスポーツチームを作ったら強いチームが作れると思っています。
つまり、娘を例にすると筋力を最優先するのではなく、歯の噛み合わせや足など重心が整うことでパフォーマンスが上がり、力の伝え方が上手いと考えます。
重心の使い方が上手い=運動神経ということが分かったのでスポーツ選手にもインソールは愛用していただいています。
——体の不調改善のためだけでなく、子供の形成期・スポーツ選手にもいいということですね。
どんな方でも相性がいいと思い説明しています。
トップアスリートやその周りのトレーナーもいまだに重心の重要性がわからない人がまだまだ多いと感じています。
もちろん成績が残せていたり、今の状況で進めていきたい方には無理に重心にこだわる必要はないと思っています。
その中で私がぜひ取り入れてほしいと思うのは、頭打ちになっていている選手などにぜひ使用してほしいと思っています。
インソールを使って新しい技術や動きが獲得できるはずです。
——最後にフィットネスを続けている皆さんへ一言をお願いします。
RiCAMを使用してもらうことで、足を使えるようにすることで全身の筋の過緊張がとれることで、身体のパフォーマンスアップにつながります。
また、皆さんのライフスタイルをより良くするためのものです。
ぜひ一度お試しになってみてください!
[撮影協力]
IRERUDAKE株式会社
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大木 卓也(おおき・たくや)
IRERUDAKE株式会社 代表取締役
2004 年アテネパラリンピック、視覚障害者自転車競技スプリント銀メダリストでもあり、中学校より自転車競技を開始。 (視覚障害者の先導として二人乗り自転車の前乗りで出場、日本で2人目の健常者パラメダリスト) 現役時代から、首や鎖骨等多くの骨折を経験し、20 代半ばより頻発する不定愁訴(突発性頭痛や嘔吐・眩暈など)を患う。 歯科医師である妻と、噛み合わせ調整の研究会にて人が2 足歩行をするためには、頭位と骨盤の2 カ所の重心バランスが重要ということを知る。 自分自身、妻が研究会の技術をとりいれた治療をした結果、長年患っていた不定愁訴の症状が改善された。骨盤のバランスを整えるためには足裏のどこに重心があるかが重要であることを知り、インソールを研究する。 試行錯誤の結果、オーダーメイドの技術を応用した製品で、身体の重心バランスの位置を変えるRiCAM(3つの突起)を搭載したI R E R U D A K E を完成させる。
笹森大生(ささもり・だいせい)
トーキョーフィットネス株式会社 代表
パーソナルトレーナー
大手フィットネスジムにて実績を積み、フリーランスのパーソナルトレーナーへ転身。現場において1000人以上の方へ指導・カウンセリング・コミュニケーションをとってきたことから、フィットネスのための情報をより多くの人に発信していきたいと思い「トーキョーフィットネス」を開設。
また、銀座のブライダルドレスショップと提携をし、ブライダルのためのボディメイクサポートプランも手がける。
■生年月日 1997年12月15日
■出身地 青森県出身
■保有資格
・NSCA-CPT(全米エクササイズ&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)
・Animal Flow Lv.1 Instructor
< Interview:笹森大生/Photo:秋田>
IRERUDAKE株式会社は四年前に立ち上げた会社でインソールオンリーで開発と販売をしている会社です。
私たちの使っている商品は「RiCAM」という特許を取得した、今までにない概念のインソールを開発して皆様に知ってもらうために活動しております。
実際に弊社開発のインソールを使用すると、
などの効果があります。