筋トレが原因で腰痛が悪化したら、まずはトレーニングを休むようにしましょう。腰痛から回復したら、腰を痛めない方法で徐々にトレーニングを再開するとよいでしょう。
この記事では、柔道整復師として約10年の臨床試験を積んだ私が、腰痛の原因となってしまう筋トレのやり方を解説。さらに腰を痛めない筋トレを紹介するので、参考にしてください。
目次
腰痛の原因となってしまう筋トレのやり方
筋トレで腰痛になる原因は、以下の通りです。
- 負担になる重さを扱った
- 体を起こして腹筋運動をする
- 腰を反ったり丸めたしてスクワットをする
- 筋肉痛がある時に日常動作で怪我をする
ここからはそれぞれについて詳しく解説します。
負担になる重さを扱った
筋トレでは、重さを扱う種目が効果的な場合もあり、健康や筋力アップ以外にも、重さを扱うこと自体が楽しさに繋がることがあります。
しかし、自分の能力を超えた重量でトレーニングすると、腰を痛めるリスクが高まります。
まずは正しいフォームを習得し、そのフォームを10回維持できない重量は腰痛の原因となりやすいため、無理をせず段階的に重さを増やすことが重要です。
体を起こして腹筋運動をする
腹筋を鍛える場合、仰向けの状態から体を起こすようなトレーニングをすると、腰を痛めることがあります。
腹筋で腰を傷める原因は、足の付け根にある腸腰筋と呼ばれる筋肉に負担がかかるからです。腸腰筋とは、股関節と腰骨をつなぐ筋肉で緊張して硬くなると腰が痛くなります。
とくに腹筋が弱い人が仰向けの状態から上半身を起こすようなトレーニングを行うと、腹筋の弱さを腸腰筋で補おうとします。その結果、腸腰筋が緊張して硬くなり、腰痛になるのです。
腰を反ったり丸めたしてスクワットをする
腰を反ったり丸めたりしてスクワットをすると、腰に負担がかかって腰痛になる可能性があります。スクワットをする際に、お尻を突き出して過度に骨盤を前傾させると腰が反った状態になります。
また体幹の筋力不足で姿勢を維持できないと腰が丸くなります。体幹の筋力が不足している場合は、まずはヒップリフトなどのスクワットとは別の方法でお尻の筋肉を鍛えるとよいでしょう。
筋肉痛がある時に日常動作で腰を痛める
正しいフォームや適切なトレーニングを行って腰を痛めなくても、デッドリフトのような、脊柱起立筋などの姿勢に関わる筋肉に負荷がかかる種目では、翌日に脊柱起立筋やハムストリングスに筋肉痛が残ることがあります。
その結果、日常動作で腰が丸まりやすくなり、例えば床に落ちたものを拾うときに腰を痛めることがあります。
このように、トレーニング中だけでなく、日常生活にも腰を痛めるリスクが潜んでいるのです。
筋トレで腰を痛めた場合の対処法と痛めない方法
筋トレで腰を痛めた場合、まずはトレーニングを休みましょう。痛みが強い場合は、腰痛ベルト(コルセット)の使用もおすすめです。
痛みが落ち着いた場合は、腰の筋力低下を防ぐためにもコルセットは外したほうがよいでしょう。腰に熱感がある場合は冷やして、炎症を抑えると痛みが和らぎます。
足にしびれがあったり、安静にしていても腰が痛くなったりする場合はとくに注意が必要です。ヘルニアなどの腰の病気になっている可能性もあるため、整形外科を受診することをおすすめします。また筋トレ後の腰痛がなかなか治らない場合も、医療機関に相談した方がよいでしょう。
もし、まだ腰を痛めた状態になっていない方でも、下記のポイントを意識しなければ危険です。
- トレーニング前のストレッチ
- 重さと負荷に対する考え方
- 正しいフォームでできているか
それぞれの腰を痛めないための意識について詳しく解説します。
トレーニング前のストレッチ
トレーニング前には必ず、腰を痛めないようにストレッチを取り入れましょう。
筋肉を温め、可動域を広げることで、本来のパフォーマンスを引き出し、急激な刺激による怪我を防ぐことができます。
イメージとして、古いゴムをいきなり引っ張ると切れてしまうのと同じで、準備運動を怠ると筋肉が傷つきやすくなります。
ストレッチを行うことでウォームアップになり、これから動かす筋肉や腰に痛みがないかなどの状態をチェックできるため、効果的なトレーニングをサポートします。
重さと負荷に対する考え方
筋トレでは、重さを増やせば筋肉がつくと考えている方もいますが、一概にそうとは限りません。
例えば、ラットプルダウンで例えると、重さを上げても引き切れなくなってしまうとその分、効きは悪くなるため、筋肉が増えづらいと言えます。
その他にも、ゆっくり動かすか早く動かすかでも、扱える重さは変わりますよね。
このように、筋トレにおける身体への負荷は「重さ」だけではなく、「フォームの質」や「動作スピード」でも変わってくるので、重さだけにこだわらず、全体のバランスが取れた筋トレができるように意識していきましょう。
正しいフォームでできているか
基本的に「腰を痛めた」とお悩みの方は、正しいフォームで筋トレができていないことがほとんどです。
正しい筋トレを学ぶためには、まずはパーソナルジムで体験だけでも筋トレを習ってみるのがいいですよ。
当メディアでは、東京でおすすめのパーソナルジムを特集記事でまとめたので、東京都内で、腰を痛めるのが怖い人や、痛めてしまって改善していきたい人は、ぜひ一度体験レッスンに行ってみてはいかがでしょうか?
腰を痛めない筋トレの方法
ここでは、腰を傷めない筋トレを3つ紹介します。ドローインやクランチ、ヒップリフトについて解説します。
ドローイン
ドローインとは、お腹を凹ませたり膨らませたりする動きで、インナーマッスルを鍛える体幹トレーニングです。腰を動かさずにトレーニングをできるため、腰痛を発症させずに腹筋を鍛えられます。次のように実践してみてください。
- ひざを90度曲げた状態で仰向けになる
- 大きく息を吸いながら、お腹を膨らませる
- お腹を膨らませきったら、ゆっくりと息を吐いて凹ます
- 5秒間を目安にお腹を凹ませた状態をキープ
- 1~4を繰り返す
まずは1日に5~10回を目安に実践してみるとよいでしょう。
クランチ
クランチは腸腰筋に力を入れずに腹筋を鍛えられるトレーニングです。腹直筋と呼ばれる腹部の外側を覆う筋肉を鍛えられます。クランチの手順は次のとおりです。
- 仰向けになる
- 膝・股関節は90度に曲げる
- 手を後頭部の後ろで組む
- お臍を覗き込むようにして頭を持ち上げる
- 頭を地面につくギリギリの高さまで下ろす
- 1~5を繰り返す
頭を持ち上げる際は、可能であれば肩甲骨が床から離れる程度まで上半身を起こすとよいでしょう。10回を1セットとして、1日に3セットを目安に実践してみてください。
ヒップリフト
ヒップリフトは床に仰向けの状態でお尻を鍛えられるため、腰への負担を減らしてトレーニングできます。スクワットで腰が痛くなる場合は、ヒップリフトを試してみてください。次のようにして実践します。
- 膝を90度に立てた状態で仰向けになる
- 肩・腰・膝が一直線になるように、床から腰を持ち上げる
- 腰を持ち上げた状態で姿勢を5秒ほどキープする
- 1~3を繰り返す
腰を持ち上げる際は、お尻を締めるように意識するとよいでしょう。20回を1セットとして、1日に3セットほど実践してみてください。
腸腰筋を鍛えて腰痛予防
腹筋で腰を痛める場合、腸腰筋が弱っているかもしれません。適度な刺激を腸腰筋に与えて、腸腰筋を鍛えると腰痛予防になります。ニーレイズと呼ばれる腸腰筋を鍛えるトレーニングを紹介するので、ぜひ実践してみてください。
ニーレイズ
ニーレイズのやり方は、次のとおりです。
- 膝を90度に曲げた状態で仰向けになる
- へそをのぞき込むようにして頭を少し持ち上げる
- 足を少し浮かせる
- 膝を胸に引き付ける
- 限界まで膝を胸に近づけたあとに足を元の位置に戻す
- 1~5を繰り返す
クランチの状態から膝をさらに胸に近づけるようなトレーニングです。腸腰筋は日常であまり使われることがなく弱りやすい筋肉であるため、ニーレイズで強化してみてください。
筋トレをした後は、ストレッチでクールダウンするのもおすすめです。次の記事では、腰を痛めないストレッチを紹介しますので、参考にしてください。
腰痛があるときにやってはいけない運動とは?ストレッチや筋トレについて解説
腰痛の原因を作らないためにも正しい筋トレを実践しよう
腰痛の原因を避けるためには、正しい筋トレを実践することが大切です。今回は、腰に負担の少ないトレーニングを紹介しましたので、ぜひ参考にしてください。