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筋トレの若返り効果とは?「老化を早める」などの真相も解説

筋トレ 若返り
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大日向 玲紀医師
2001年日本医科大学卒業、癌感染症センター都立駒込病院外科学を修了、現在都立病院で救急疾患、 消化管内視鏡業務と手術外科医長 として後進指導を行う。 消化器疾患・癌全般に関してのエキスパート。消化器癌、特に胃癌領域において1000件以上の手術実績があり、腹腔鏡手術に関しては外科専門医における合格率は20%程度の取得難易度の高い資格である技術認定医を取得。2018年に法人を立ち上げ、 ヘルスケア事業を中心とした医療商材の販売・コンサルタント業も行い、株式会社パソナグループ、 株式会社パソナアートナウ、ベネフィット・ワン株式会社などの産業医としても活躍。

30~50代になると、「最近老けてきたかも」「若々しさを保ちたい」と感じる方は多いでしょう。

老化を遅らせる運動として注目されるのが筋力トレーニング(筋トレ)です。実は適度な運動習慣は細胞レベルにも良い影響を与え、老化現象を緩やかにする可能性があります​。

一方で、「筋トレをすると老ける」といった噂や、運動不足が老化を進めるという話も耳にします。

本記事では、老化の原因から筋トレのアンチエイジング効果まで専門的な視点でわかりやすく解説します。

筋トレと若返りホルモン(成長ホルモン・テストステロン)の関係や、筋トレで顔が老けるという噂の真偽、さらに老化細胞除去NMNなど最新の抗老化法も紹介します。若々しさを保つヒントを一緒に見つけていきましょう。

目次

老化の原因とは?細胞レベルで進む老化のメカニズム

私たちの体は加齢とともに様々な変化が起こり、これが「老化」として現れます。老化の原因は一つではなく、複合的です。主な要因として次のようなものが知られています。

原因①:活性酸素(酸化ストレス)

呼吸や代謝で発生する活性酸素は細胞を傷つけます。若いうちは抗酸化酵素がダメージを修復できますが、加齢により抗酸化力が低下し、酸化ダメージが蓄積。

その結果、細胞機能が衰え老化が進みます。

原因②:糖化

過剰な糖分により体内でタンパク質が劣化する現象を糖化といいます。

糖化によって生じる最終糖化産物(AGEs)はコラーゲンを硬くし、お肌のシワやくすみ、血管の弾力低下など老化現象を引き起こします。

原因③:細胞老化(老化細胞の蓄積)

細胞分裂を繰り返すうちに限界に達した細胞やダメージを受けた細胞は増殖を停止し「老化細胞(セル・セネッセンス)」となります。

老化細胞自体はがん抑制など役目もありますが、増えすぎると周囲に炎症性物質(SASP)をまき散らし、他の細胞の老化を促進します​。

加齢とともに体内に老化細胞が蓄積し、組織の機能低下や慢性炎症の原因となります。

原因④:ホルモンバランスの変化

成長ホルモンや性ホルモン(テストステロンやエストロゲン)は若さを保つのに重要ですが、30代以降これらの分泌量は減少します。

成長ホルモン低下は細胞修復力の低下、テストステロン低下は筋力・代謝の低下や活力減退につながり、老化を加速させます。

原因⑤:幹細胞の枯渇

新しい細胞を作り出すもとである幹細胞も年齢とともに数や機能が落ちます。

このためダメージを受けた組織の再生能力が下がり、老化現象が現れやすくなります。

原因⑥:慢性炎症

年齢を重ねると免疫の暴走などで体内で弱い炎症反応が続く「サイレント炎症(慢性炎症)」状態になりがちです。

慢性的な炎症は血管や臓器をじわじわ傷つけ、老化や生活習慣病の要因となります。

このように老化は「細胞の傷つき・蓄積するダメージ」と「修復・再生の力の低下」によって起こります。そして重要なのは、生活習慣次第で老化の進行スピードを緩やかにできる可能性があることです。特に運動習慣は老化抑制において極めて有力な方法とされています。

老化を遅らせる運動とは?運動不足が老化を加速させる理由

結論から言えば、適度な筋トレや運動は老化防止に効果的です。

人間は身体を動かすことで血行が促進され、酸素や栄養が全身の細胞に行き渡ります。また運動は筋肉や骨への刺激となり、それらの組織の維持・強化につながります。

一方で運動不足の生活を続けると、筋力低下や代謝低下が起こり老化現象が早まります。

運動不足と老化

運動しない期間が長くなると、筋肉量と筋力は年齢以上のペースで落ちていきます。筋肉が衰えると姿勢が悪くなったり基礎代謝が下がったりして、見た目の若々しさも失われがちです。実際、75歳以上では筋力が毎年3~4%低下するという報告があります(参考文献: W. Kyle Mitchell et al. (2012) Sarcopenia, dynapenia, and the impact of advancing age on human skeletal muscle size and strength; a quantitative review. Striated Muscle Physiology, Vol3 2012)。

また筋肉量の減少(サルコペニア)は転倒骨折リスクを高め、寝たきりなど老衰への近道となります​。運動不足は “老化の加速装置” と言えるでしょう。

どんな運動が効果的か?

 老化を遅らせ健康寿命を延ばすには、有酸素運動(ウォーキングやジョギング、水泳など)と無酸素運動(筋トレ)の両方をバランスよく行うのが理想です。有酸素運動は心肺機能を高め血管年齢を若く保ちますし、脳への血流も増やして脳の老化予防につながります。

一方、筋トレは加齢で落ちる筋肉と骨を守り、ホルモン分泌も促してくれるため特に重要です。後述するように、筋トレこそが老化防止の切り札になります。

運動が細胞レベルにもたらす効果

習慣的に運動している人は、していない人に比べて体内の老化細胞が少ないことが研究で示されています​(参考文献:tmghig.jp)。

加齢や肥満で増える老化細胞も、運動を行わせたマウスでは蓄積が抑えられたとの報告があります(参考文献:ttmghig.jp)。

つまり運動には細胞老化を抑制する働きがあると考えられます。

また運動すると筋肉からマイオカインと呼ばれる物質が分泌され、体全体に抗炎症・抗老化作用を及ぼすこともわかってきました。運動は単に筋肉を鍛えるだけでなく、全身の臓器や細胞環境を若返らせる効果が期待できるのです。

こうした理由から、「老化を遅らせる運動」としてまず薦められるのが筋トレを取り入れた運動習慣です。では、筋トレは本当にアンチエイジングに良いのでしょうか? 次章で詳しく見ていきましょう。

筋トレは老化を促進する?それとも若返りにつながる?

一方で「筋トレをすると老ける」という噂を聞いたことがありませんか?一部でささやかれるこの説には、運動時に発生する活性酸素過度な減量による栄養不足が関係しています。

しかし結論から言えば、正しく行う筋トレが老化の原因になることはまずありません。むしろ筋トレは適切に実践すればアンチエイジング効果が大いに期待できるのです。

ここからは、「筋トレをすると老化が進む」と言われてしまう原因について負荷ぼって解説していきます。

筋トレ中の活性酸素について

確かに激しい運動をすると体内で活性酸素(ROS)が発生し、その結果老化につながる恐れがあります。

特に長時間の有酸素運動は呼吸量が増え、活性酸素が過剰に生じやすいと言われます。実際、マラソンなど持久系運動では一時的に酸化ストレスが上がる報告もあります。

しかし筋トレなど短時間の無酸素運動や適度な有酸素運動では大量の酸素を消費しないため、酸化ストレスもそれほど心配いりません。​

むしろ適度な活性酸素は体のシグナルとして必要で、運動後には身体が抗酸化能力を高めるため、長期的には酸化ダメージに強くなると考えられています。

つまり、重要なのはやり過ぎに注意することです。毎日休まず高強度トレーニングをしたり極端な長時間運動を続けたりすると、さすがに活性酸素過多で老化を促す恐れがあります。適度な頻度・強度で行えば問題ありません。

栄養不足に注意

「筋トレしたら顔色が悪く老けた」という人の多くは、食事制限など栄養不足の状態で筋トレをしてしまったケースです。

エネルギーやタンパク質が不足したままでは体が筋肉を分解しはじめ、筋トレ効果も出ないうえに肌や髪に栄養が届かずやつれた印象になります。

特にダイエット目的で筋トレをする人は、たんぱく質やビタミン・ミネラルをしっかり摂ることが大前提です。

栄養をしっかり摂っていれば、筋トレが老化を招くことはありません。筋肉がついて代謝が上がれば肌への栄養も巡りやすくなり、かえって若々しさが増すでしょう。

適度な筋トレはアンチエイジング効果抜群

ボディビルダーのように極限まで筋肉を追い込むような特殊な場合を除き、一般人にとって筋トレは最もコスパの良いアンチエイジング法といえます。

筋肉量が増えれば基礎代謝が高まり、全身の細胞の新陳代謝も活発化します​。

その結果、痩せやすく太りにくい体になり、血糖コントロールが改善して糖化の防止にもつながります。

代謝が上がればお肌のターンオーバー(生まれ変わり)も促進され、シミ・シワの予防にもプラスです。つまり筋トレで筋肉を維持・増強することは、内側から若さを保つ土台作りと言えるのです。

以上のように、「筋トレ=老ける」というのは誤解であり、正しい筋トレ習慣は老化防止に役立ちます。

ただし、筋トレ効果を十分アンチエイジングにつなげるには休養と睡眠も重要です。トレーニングでダメージを受けた筋肉や細胞は睡眠中に修復されます。

良質な睡眠中にはメラトニンというホルモンが分泌され、これは強力な抗酸化作用で活性酸素を抑えてくれます。筋トレ+栄養+休養のバランスが若さを保つポイントです。

筋トレが若返りやアンチエイジングに良い理由

先ほど筋トレがアンチエイジングにも効果的だと解説しましたが、筋トレがなぜアンチエイジングにつながるのか、筋肉の視点からもう少し詳しく見てみましょう。

筋肉量の維持が代謝と活力の鍵

筋肉は「第二の心臓」とも呼ばれ、全身の代謝を牽引する存在です。

筋肉量が多い人ほど基礎代謝が高くエネルギー消費が盛んなため、老廃物の排出や細胞の生まれ変わりもスムーズです​。

逆に筋肉量が落ちると代謝が低下し、肥満や肌のくすみ・たるみなど加齢現象が出やすくなります。

筋トレで筋肉をつけておくと太りにくく若々しい体質を維持でき、疲れにくさや日常の活力アップにもつながります。「運動している人は若々しい」と言われるゆえんは、筋肉量の差によるところが大きいのです。

良い姿勢と骨の強化

筋トレで体幹や背筋を鍛えると姿勢が良くなり、見た目年齢が若返ります。猫背で背中が丸まっていると実年齢以上に老けて見えるものです。

筋肉がしっかりついて体の軸が整えば、立ち居振る舞いもシャキッとして若々しく映ります。

また筋肉は骨に負荷をかけることで骨密度を高めます。筋トレ習慣のある人は骨も丈夫になり、骨粗しょう症や骨折リスクが下がります。

骨が元気だと関節痛や腰痛を防ぎアクティブに動けるため、老け込まずに済むというわけです。

血行促進と冷えの解消

筋肉は血液を全身に送り出すポンプの役割も担います。

筋トレで筋肉が増えると安静時でも血流量が増えやすく、末端の毛細血管まで血が巡ります。

手足の冷えや肌の血色不良も改善し、肌艶が良くなったり髪に栄養が行き渡ったりします。結果として肌や髪にハリ・ツヤが出て若々しい印象になることも期待できます。

このように筋トレによって得られる筋肉の効果は、見た目も内面も「若さの維持」に直結します。

では次に、筋トレがホルモン分泌に与える良い効果について見てみましょう。

筋トレと若返りホルモンの関係(成長ホルモン・テストステロン)

成長ホルモンテストステロンは、俗に「若返りホルモン」とも呼ばれるほどアンチエイジングに深く関与するホルモンです。筋トレはこれらホルモンの分泌を促すため、内側からの若返り効果が期待できます。

成長ホルモン(GH)

成長ホルモンは子供の成長を促すだけでなく、大人でも細胞の修復や代謝促進に欠かせないホルモンです。

肌のコラーゲン生成や筋肉・骨の再生もGHが担っています。しかしGHの分泌量は20代をピークに減少します。

筋トレはこの成長ホルモンの分泌を高める有効な刺激になります。特に就寝中の成長ホルモン分泌が、筋トレ習慣のある人は有酸素運動中心の人より高まることが報告されています。

適度な筋トレをすると睡眠中にたくさんGHが出るため、お肌の修復や筋肉の合成が促されて体の若返りに繋がるわけです。

また、筋トレ後にしっかり睡眠をとることで、成長ホルモンが十分に分泌され「翌朝の肌がツヤツヤになった」という声もあります。

テストステロン

テストステロンは男性ホルモンの代表ですが、女性にも少量存在し筋肉や骨の維持に関与しています。

特に男性では30代以降テストステロン値が徐々に低下し、40代以降で顕著に減っていきます。

テストステロンが低下すると筋力や性欲の低下、意欲の減退、体脂肪増加など中年太り・老けの原因となります​が、筋トレはテストステロン分泌を増やす非常に有効な方法です。

特にスクワットやデッドリフトなど大きな筋肉を動かす高強度の筋トレ(いわゆるBIG3種目)は、効率よくテストステロンを上昇させます​。

実際に4~12週間の筋トレ継続でテストステロンが有意に上がったという研究もあります。テストステロン値が適切に維持されていると、タンパク質同化作用で筋肉の修復・成長が促されるほか、骨密度や認知機能の維持、意欲・判断力の向上など多面的なメリットがあります。

さらにテストステロンはコラーゲン生成を促し肌の弾力を保つ効果も指摘されています。適度な男性ホルモンは肌のハリを良くし、見た目の若々しさにも寄与するのです。

以上のように、筋トレをすることで成長ホルモンとテストステロンという二大「若返りホルモン」の分泌を高めることができます。

男性は筋トレで低下しがちなテストステロンを補い、女性も筋トレで成長ホルモン分泌を刺激することで、美肌や引き締まった体を手に入れやすくなります。

筋トレは性別を問わずホルモンバランスの面からもアンチエイジングに有効なのです。

筋トレで顔が老ける?その真偽と美容への影響

ここまで筋トレの若返り効果について解説してきましたが、筋トレにまつわる噂で「筋トレすると顔が老ける」というものもあります。

激しい筋トレをすると顔の脂肪が落ちてげっそりしたり、シワが増えるのでは?と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、この点も心配しすぎる必要はありません。適度な筋トレによる美容へのプラス効果は多く、むしろ顔の若返りにつながる可能性も示唆されています。

顔が老けると言われる理由

筋トレを極端に行い体脂肪を減らしすぎると、確かに頬の脂肪も落ちて顔がこけた印象になる場合があります。

また過度なトレーニングで活性酸素が増えたり栄養不足になったりすれば肌荒れやくすみが生じ、「老け顔」に見えることもあるでしょう。

ただしこれらは筋トレ自体の問題というより、冒頭で解説したように、減量のしすぎや栄養管理の問題です。適切な範囲で筋トレする限り、顔だけ選択的に老け込むようなことは起こりにくいです。

筋トレの美容効果

一方、筋トレには美容に嬉しい効果もたくさんあります。前述のように筋トレで成長ホルモン分泌が増えると肌の修復やコラーゲン産生が促されます。

また筋トレで血行が良くなると顔色が明るくなり、クマやくすみの改善にも役立ちます。さらに最近の研究では、筋トレが皮膚の老化指標を改善することが世界で初めて明らかになりました。

立命館大学の研究によると、有酸素運動と筋トレの両方で肌の弾力性や真皮(肌の土台)の構造が改善し、特に筋トレは加齢で薄くなる真皮の厚みを回復させる効果が確認されたのです(参考文献:​ritsumei.ac.jp)。

筋トレによって血中の炎症性物質が減少し、肌のコラーゲンやエラスチンのもとになる成分(ECM)が増えたことが要因とされています。つまり筋トレは肌の厚みとハリを蘇らせ、美肌づくりに貢献するという嬉しい報告です。

「ランナー顔」との違い

よく持久系のランナーが頬がこけて老けて見えることから「ランナー顔」などと言われますが、これは過度な持久的運動+低脂肪により皮下脂肪が落ちるためです。

筋トレの場合はむしろ筋肉が付くぶん適度にハリが出て、脂肪も極端には落ちません(ボディビル競技レベルの減量は別ですが)。

適度な筋トレ+バランスの良い食事であれば、顔だけ老けるような心配は不要でしょう。むしろ筋トレしている人は姿勢も良く表情も生き生きするため、総合的に見て若々しい印象を与えることが多いです。

結論として、筋トレが直接「顔の老化」を招くエビデンスはなく、正しく行えば美容面でもプラスになることが期待できます。

筋トレで身体も肌もケアしつつ、必要に応じてフェイストレーニングやスキンケアを取り入れれば、全身トータルでアンチエイジング効果を高められるでしょう。

老化防止のための筋トレメニューとポイント(男女共通)

アンチエイジング目的で筋トレを始めるなら、どんなメニューが効果的でしょうか。ポイントは大きな筋肉を中心に、無理のない強度で継続することです。男女問わず共通の基本を押さえつつ、自分に合ったメニューを組んでみましょう。

頻度と強度の目安

筋トレは週に2~3回程度行うのが効果的です。1回あたりの時間は30分~1時間でも十分です。

強度は「10回前後で限界になる重さ」で行うと筋力アップに効果的と言われます。例えば自重スクワットやダンベル体操でも、10回でキツいと感じる負荷に調節しましょう。

初心者はまずフォーム習得が大切なので、重量は無理せず回数多めでもOKです。徐々に負荷を上げていき、最終的に10回が限界になる負荷×3~5セットを目指すと筋肉が効率よく鍛えられます。

大筋群を優先

老化防止には大きい筋肉(大筋群)を鍛えるのが効果的です。

具体的には太ももの前後(大腿四頭筋・ハムストリングス)、お尻(大臀筋)、背中(広背筋)、胸(大胸筋)などです。

大筋群を動かす種目(スクワット、デッドリフト、ベンチプレス、ラットプルダウンなど)は複数の関節が動員されるため、一度に広範囲の筋肉を刺激できます。少ない種目で全身の代謝を上げられるので忙しい人にも効率的です​。

例えばスクワットは脚だけでなく体幹も使う全身運動ですし、腕立て伏せ(プッシュアップ)は胸・肩・腕・体幹を一度に鍛えます。これら複合種目を中心に据え、補助的に二の腕や腹筋など小さい筋肉のエクササイズを組み合わせるとバランスが良いでしょう。

有酸素運動も組み合わせる

筋トレだけでなく、適度な有酸素運動も取り入れると相乗効果があります。例えば週2回筋トレ+週2回ウォーキングや軽いジョギングなどです。筋トレで基礎代謝が上がった体に有酸素運動を加えると脂肪燃焼効果が高まり、生活習慣病予防にも◎。

有酸素運動は心肺機能を維持し脳への血流も増やすので、認知症予防など健康長寿に役立ちます。

ただし長時間の有酸素を毎日行うと冒頭で解説したように活性酸素ストレスが蓄積する可能性もあります。適度な頻度と強度(息が上がりすぎない程度の軽~中強度)を心がけましょう。「筋トレ+有酸素」のバランスが最強のアンチエイジング運動と言えます。

フォームと安全性

若返りのためとはいえ、ケガをしては本末転倒です。筋トレは正しいフォームで行い、関節に無理な負担をかけないようにしましょう。

特に中高年の方は、いきなり高重量を扱うのは危険です。最初は自重エクササイズ(スクワット、腕立て、腹筋など自分の体重を負荷にする運動)から始め、慣れてきたらダンベルやマシンを使うと良いです。筋肉痛がひどいときはしっかり休むことも大切です。

継続こそ力

アンチエイジング筋トレ最大のコツは「細く長く続けること」です。筋肉は使わないとすぐ衰えますが、逆に言えば何歳からでも鍛えれば応えてくれます。50代から筋トレを始めて体が引き締まり若返った例も多く報告されています。最初は軽めでも、継続することで数ヶ月後には確実に筋力アップと若々しい体つきを実感できるでしょう。

筋トレ習慣を続けるコツ:パーソナルトレーニングの活用も

三日坊主にならず筋トレを習慣化するには、いくつかコツがあります。せっかく始めても続かなければ効果は得られません。楽しみながら継続する工夫を凝らしましょう。

目標を設定する

「体重を◯kg減らす」「ウエストを◯cm引き締める」「階段を息切れせず上れるようにする」など具体的な目標を作るとモチベーションになります。達成度合いを記録していくと、小さな変化も実感できて継続につながります。

無理しすぎない

 最初から完璧を目指さず、「週2回できれば合格」くらいの気持ちでOKです。疲れが強い日は休んで良いですし、短時間でもやった自分を褒めましょう。継続>完璧です。

仲間やトレーナーの力を借りる

 一人では続けにくい場合、ジムのパーソナルトレーニングを利用するのも手です。プロのトレーナーが付けば正しいフォームが身につきやすく、安全かつ効果的に筋トレができます。何より予約を入れることで強制力が働き、サボりにくくなる利点があります。最近は30~50代から始める方も多く、トレーナーが食事面など総合的にサポートしてくれるので安心です。友人と一緒にジム通いするのも良いですね。互いに励まし合えば楽しみながら続けられるでしょう。

飽きない工夫

同じメニューばかりだと飽きるので、時々種目や順番を変えてみましょう。新しい器具に挑戦したり、音楽をかけてリズミカルに動いたりするのも◎。成果が出てきたらおしゃれなスポーツウェアを買ってみるなどモチベーションアップにつながる演出も大切です。

筋トレ習慣が身につけば、体が変わるだけでなく気持ちも前向きになります。「やれば変われる」という自信がつき、ストレス耐性も上がると言われます。無理なくコツコツ続けて、心身ともに若々しさをキープしましょう。

食事とサプリで細胞からアンチエイジング:老化を防ぐ栄養素とは

運動と並んでアンチエイジングで重要なのが食生活です。筋トレ効果を最大限に引き出し、細胞レベルで若さを保つには、日々口にするものにも気を配りましょう。「細胞の老化を防ぐ食べ物」として、以下のポイントがあります。

抗酸化食品を積極的に摂る

老化の大敵である活性酸素を無害化する抗酸化成分を豊富に含む食品を摂りましょう。

代表的なものはビタミンACE(エース)と言われるビタミンA・C・Eです。ビタミンAは緑黄色野菜やレバーに、ビタミンCは柑橘類やイチゴ、ビタミンEはナッツ類やアボカドに多く含まれます。

他にもポリフェノール(ベリー類、緑茶、赤ワイン)、カロテノイド(にんじん、かぼちゃ、トマト)など色の濃い野菜や果物は抗酸化力が高いです。これらを毎日の食事にバランスよく取り入れて、細胞の酸化ダメージを和らげましょう​。

良質なたんぱく質を十分に

筋肉や肌、臓器の材料となるたんぱく質は加齢とともに意識して摂りたい栄養素です。筋トレしている方は体重(kg)×1~1.5gのタンパク質を目安に、肉・魚・大豆製品・乳製品・卵などを偏りなく摂取しましょう。

特に魚には抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸(EPA/DHA)も豊富で、動脈硬化予防や脳の健康にも寄与します。筋肉の合成にはビタミンB群や亜鉛なども必要なので、雑穀や海藻、種実類も組み合わせてまんべんなく栄養を摂ることが大切です。

糖質との付き合い方

先述の糖化を防ぐには、急激な血糖値上昇を避けることが重要です。白砂糖たっぷりのスイーツや清涼飲料水は控えめにし、どうしても甘い物が欲しいときは果物やハチミツなど自然由来の甘みを少量楽しむ程度にしましょう。

炭水化物も食物繊維と一緒に摂る(野菜や海藻と一緒にご飯を食べる等)ことで血糖値の急上昇を抑えられます。毎日お菓子を食べる習慣は肌の黄ぐすみやコラーゲン劣化に直結しますので、「脱・甘いもの依存」を目指しましょう。

腸内環境を整える

腸は「第二の脳」とも呼ばれ、免疫や老化にも深い関わりがあります。発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌、ぬか漬け等)や食物繊維(野菜、果物、全粒穀物)をしっかり摂って善玉菌が優位な腸内環境を維持しましょう。腸内環境が良いと慢性炎症が抑えられ、老化スピードが緩やかになるとの研究もあります。毎朝乳酸菌飲料を飲むなど手軽な習慣から始めてみてください。

NMNなど最新のアンチエイジングサプリメント活用

近年、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)という物質がアンチエイジングの切り札として注目を集めています。NMNは私たちの体内に元々あるビタミンB3由来の物質で、これをサプリメントで補うことで若返り効果が期待されています。

NMNとは

NMNは体内に入ると補酵素であるNAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)に変換されます​。

NAD+は細胞のエネルギー代謝やDNA修復に欠かせない物質ですが、加齢とともに体内量が減っていきます​。

NMNを補給してNAD+を増やすと、長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子が活性化し老化を抑える働きがあると考えられています。

実際マウス実験では、NMN投与によって代謝改善や寿命延長の効果が報告されています。

NMNの効果と安全性

人間に対する臨床試験も行われ始めており、短期的には100~1000mgの高用量でも重篤な副作用は報告されていないとされています​。

またヒト試験で筋力や歩行速度の改善、インスリン感受性の向上、白血球の生存率改善など多面的な効果が報告されたケースもあります​。

テロメア長(細胞寿命の指標)を維持する働きが示唆された研究もあり、NMNは細胞レベルでのアンチエイジングに有望と期待されています​。

さらに抗酸化や細胞修復を助けることで肌老化を抑制する可能性も指摘されています。

ただし長期の安全性については現時点でデータが不足しており(試験期間は数週間~数ヶ月が中心)、何年も摂取した場合の影響は今後検証が必要です​。

NMNの摂り方

NMNは野菜などにも微量ながら含まれますが、十分な量を食事から摂るのは現実的ではありません(例えば1日125mgのNMNを食品から得るにはブロッコリー数千房分が必要とされています)。

そのため、サプリメントで適量を継続摂取するのが一般的です。日本でもドラッグストアや通販でNMN配合サプリが入手可能になっています。価格は高めですが、最近は手の届きやすい製品も増えてきました。

摂取量は製品推奨量を守り、過剰摂取は避けましょう(高すぎる用量は逆にNAD+を分解する酵素を活性化してしまう可能性が指摘されています)。

毎日一定量を続けることがポイントで、余分なNMNは尿中に排出されるため一度に大量に摂っても意味がありません。

その他のサプリメント

NMN以外にも、アンチエイジング分野で注目の成分があります。例えばレスベラトロール(赤ワイン由来のポリフェノール)はサーチュイン遺伝子を活性化する可能性があり、「飲むアンチエイジング」として話題になりました。

またビタミンC・E、コエンザイムQ10、αリポ酸など抗酸化サプリは細胞の酸化防止に有効です。

男性ならテストステロン維持に亜鉛マカ、女性ならエストロゲン様作用のある大豆イソフラボンなども検討されます。

ただしサプリメントはあくまで補助であり、基本はバランスの良い食事と生活習慣です。闇雲に色々摂るより、足りない栄養素を補給する目的で賢く活用しましょう。持病がある方や複数サプリを併用したい場合は、医師や薬剤師に相談すると安心です。

まとめ:筋トレで内側から若返りを!最新の知見も味方につけよう

歳を重ねること自体は避けられませんが、日々の心がけ次第で「どんな風に年齢を重ねるか」は大きく変えられます。

筋トレを中心とした適度な運動習慣は、筋肉と骨を強くし、ホルモン分泌を活発にして、老化をゆるやかにする最善策と言えます。さらに十分な栄養と休養をとり、必要に応じてNMNなど最新のアンチエイジング科学も取り入れれば鬼に金棒です。

30~50代はまだまだ体も応えてくれる時期です。この時期に始めたアンチエイジング習慣は、5年後10年後の大きな若々しさの差となって現れるでしょう。

筋トレで体を動かす楽しさとともに、細胞レベルで若返っていく自分をぜひ実感してみてください。今日の小さな一歩が未来の大きな若返りにつながります。さっそくできる範囲から、アンチエイジング・エクササイズを始めてみましょう!

以上、筋トレと老化防止の関係について専門的な知見も交えながら解説しました。適度な運動と健康的な生活で、いきいきとした毎日を送りましょう。あなたの筋トレ習慣が実り、多くの「若々しい成果」をもたらすことを応援しています。