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インクラインベンチプレスは必要ない?効果的なやり方や角度・向き・重量も解説

インクラインベンチプレス 必要ない
ABOUT US
片桐 悠貴
全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)認定パーソナルトレーナー/2019サマースタイルアワード東京大会 スポーツモデル部門総合優勝/2020サマースタイルアワード決勝大会スポーツモデル部門tall優勝

インクラインベンチプレスは、大胸筋の上部を鍛える人気なトレーニング種目です。
しかし、一部では「優先順位は高くない」「初心者には必要ない」といった意見もあります。

本記事では、現役トレーナーである筆者が、インクラインベンチプレスが本当に必要ないのか、これまでの経験をもとに解説します。

また、インクラインベンチプレスを取り入れる際の正しいやり方について、ベンチの角度や向き、設定すべき重量や回数についても詳しく紹介し、スミスマシン・ダンベルそれぞれでのトレーニング方法についても解説していきます。

インクラインベンチプレスは必要ないって本当?

インクラインベンチプレス 必要ない

インクラインベンチプレスは、大胸筋の上部を集中的に鍛える種目として有名ですが、「必要ではない」とする意見もあります。実際のところ、すべての人が取り入れるべき種目なのか、考察していきます。

インクラインベンチプレスのメリットは?

インクラインベンチプレスの主なメリットには以下のような点が挙げられます。

  • 大胸筋上部の発達:胸板を厚くするだけでなく、逆三角形の体型を作るのに効果的。特にボディビルダーやフィットネス競技者にとっては、大胸筋上部の発達が見た目の完成度を大きく左右します。また、アスリートにとってもパワーの向上や肩の安定性向上に役立ちます。
  • デコルテの引き締め:女性の場合、美しいデコルテラインを作るのに役立ちます。特に、ドレスやタンクトップを着る際に、胸元のシルエットがすっきり見える効果があります。さらに、姿勢を改善することで首元のラインも美しくなり、全体のスタイルが引き締まるというメリットもあります。
  • 肩の安定性向上:適切なフォームで行うことで、肩周りの筋力向上にもつながります。特に、日常生活では姿勢の改善や肩こりの予防、スポーツではプレス系種目や投球動作のパフォーマンス向上に役立ちます。デスクワークが多い人にとっても、猫背の改善や肩の緊張の緩和に貢献します。
  • 上半身のバランス強化:フラットベンチプレスと組み合わせることで、胸全体の筋肉のバランスを整えることができます。特に大胸筋上部が弱いと、胸の厚みにムラができてしまうため、均整の取れた体型を目指すために重要です。

インクラインベンチプレスは最強?

大胸筋上部は男性であれば誰もが憧れる部位であり、実際にインクラインベンチプレスだけ行っても大胸筋上部がかなり発達するため「最強」と言っても過言ではありません

しかし、インクラインベンチプレスは、確かに大胸筋上部の発達には有効ですが、それだけに頼るのは適切ではありません。

実際にかっこいい大胸筋をしている人は、例えばディップスなどの種目を行うことで大胸筋下部の発達が伴っていたり、そもそもフラットのベンチプレスで高重量を扱える人の方が大胸筋全体の厚みがあったりします

このように、他の種目と組み合わせることで、よりバランスの取れた大胸筋作りが可能になります。

ベンチプレスの解説は別記事で詳しくしているので、併せてご覧ください。

インクラインベンチプレスばかりやる必要はないということ

ここまで解説したように、インクラインベンチプレスはとても有効的な種目で、「必要ない」ということはないです。

大胸筋全体を大きくしたい人には効果的です。しかし、先述したようにインクラインベンチプレスばかり行うのは非効率と言えるというのは事実です。


例えば、初心者の人はいきなりインクラインベンチプレスばかりやるよりも、通常のバーベルベンチプレスで重量を伸ばしていく方が効果的の場合もあれば、マシンのチェストプレスで安全に鍛えていくというのも選択肢です。

目的によっては異なる意見で、本格的に行う場合はパーソナルトレーニングなどでプロの意見が必要ですが、インクラインベンチプレスを取り入れる際は、通常のベンチプレスなど基本的なトレーニング種目も同時に取り入れていくのが無難と言えるでしょう。

ベンチプレスとインクラインベンチプレスはどちらからやるべき?

目的によりますが、

  • 胸全体を鍛えたい場合:フラットベンチプレスを優先。
  • 大胸筋上部を優先したい場合:インクラインベンチプレスを先に。

という考えでどちらからやるかを検討しましょう。

いずれにせよ、トレーニングプログラムのバランスを考えた種目の組み方が重要です。

例えば、週に2回の胸トレーニングを行う場合、1日目にフラットベンチプレスとダンベルフライなどで大胸筋の中部や下部を中心に行い、2日目にインクラインベンチプレスやスミスマシン・ダンベルを使ったインクラインベンチプレスを取り入れると、大胸筋全体をバランスよく鍛えることができます。

例:週に2回大胸筋のトレーニングを行う場合

  • 1日目
    • フラットベンチプレス 4セット × 6~8回
    • フラットダンベルフライ 4セット 10〜12回
  • 2日目
    • インクラインベンチプレス 4セット × 6~8回
    • インクラインダンベルフライ 3セット × 10~12回

といった組み合わせが効果的です。

インクラインベンチがない場合の大胸筋上部の鍛え方

ジムでインクラインベンチ台(アジャストベンチ)などがない場合は、「ダンベルプルオーバー」を行うことで、大胸筋上部を鍛えることができます。

大胸筋上部を鍛えるダンベルプルオーバーのやり方については、クラシックボディビル世界チャンピオンの五味原・領(ごみはら・れい)さんが別記事で詳しく解説してくれていたので、併せてご覧になってみて下さい。

ダンベルプルオーバー やり方

ちなみに、このダンベルプルオーバーのやり方でもベンチ台を少し角度つけていますが、フラットでも大胸筋上部に刺激を入れることができるので試してみて下さい。

インクラインベンチプレスの正しいやり方|角度・向き・重量など

ここからは実際にインクラインベンチプレスの正しいやり方を解説していきます。角度やベンチの向き、重量なども解説するので参考にして下さい。

インクラインベンチプレスの角度

インクラインベンチプレス 角度

インクラインベンチプレスの角度は、20〜30度が大胸筋上部を効果的に鍛えられるというエビデンスもあります。そのため、実際のジムで設定できるアジャストベンチの角度は30度なので、基本的には30度がお勧めです。

正し、ここによってブリッジの強さによっては少し角度を上げても問題ないですが、60度以上になると肩の負担も増えやすいので注意しましょう。

参考文献:吉田 麗玖ら(2023)上体の傾斜角度の異なるベンチプレス種目における大胸筋、三角筋および上腕三頭筋の筋電図学的分析より

グリップ

インクラインベンチプレス グリップ

インクラインベンチプレスの際のグリップは、サムレスグリップで握るのがお勧めです。

サムレスグリップにすることで脇が閉じやすく、肩の負担を抑えることができます。この時、手も握り込みすぎず添えるだけのイメージをしましょう。

下ろす位置と肘の使い方

インクラインベンチプレス 下ろす位置

インクラインベンチプレスの下ろす位置は、基本的には鎖骨と胸のトップの真ん中あたりです。

脇の角度は、体に対して60度くらいで、前腕はバーベルに対して垂直になるように下ろしましょう。

インクラインベンチプレス やり方

また、押し込むときは肘は伸ばし切らないようにしましょう。

インクラインベンチプレスの重量や回数の目安

目的別に重量・回数の目安は以下の通り。

  • 筋肥大目的:6~8回×3~4セット(高重量)
  • 筋持久力向上:10~15回×3セット(中重量)
  • 初心者:まずは軽めでフォームを固める(8~12回×3セット)

ダンベルでのインクラインベンチプレスのやり方

ダンベルインクラインベンチプレス やり方
ダンベルインクラインベンチプレス やり方

基本的にバーベルのインクラインベンチプレスと意識することは一緒です。ダンベルの際も手は添えるだけで握り込まないようにしましょう。

  • ベンチの角度を30~45度に設定。
  • ダンベルを肩の高さで構え、胸を張る。
  • ゆっくりと鎖骨付近に向かって下ろし、しっかりと大胸筋を収縮させる。

違いとしては、バーベルとは異なり円を描くように動作するようにしましょう。ダンベルの方が可動域を広く使えるため、大胸筋にしっかり効かせることができます。

スミスマシンでのインクラインベンチプレスのやり方

スミスマシン インクラインベンチプレス やり方

スミスマシンでは、バーベルのインクラインベンチプレスに比べて、軌道が決まっており動作が安定するためより大胸筋上部を意識しやすいフォームを作ることが重要です。

そのため、手幅はバーベルの時よりも少し閉じ気味にしていただき、そうすることでより下から上へ掬い上げるような動作ができるようになるので大胸筋上部に効きやすくなるでしょう。

スミスマシン インクラインベンチプレス やり方

また、私の場合はバーベルのインクラインベンチプレスの後に取り入れたりと、バリエーションの一部としてスミスマシンでのインクラインベンチプレスを取り入れるため、ここでは40度〜60度くらいにセットして行っています。

筋肉を成長させるためには様々な角度で刺激することも重要です。

インクラインベンチプレスの向きは?

インクラインベンチプレス 向き

インクラインベンチプレスをスミスで行う場合は、ベンチの向きを気にする必要があります。

先ほど、インクラインベンチプレスでは少し脇を閉じながら下ろす必要があると言いましたが、それに合わせて、スミスのレールの斜めが自分の下半身に向かって斜めに落ちていく向きで設定するようにしましょう。

そうすることで、自然に脇を閉じながら動作を行うことができます。

インクラインベンチプレスの頻度はどのくらいが目安?

週に1~2回が目安ですが、以下のように目的やスケジュールに応じて調整するようにしましょう。

  • 大胸筋の発達を目指す場合:週2回
  • 補助的に取り入れる場合:週1回

まとめ|インクラインベンチプレスは必要ない?

インクラインベンチプレスは、大胸筋上部を重点的に鍛えるための効果的なトレーニング種目です。しかし、「必要ない」とされることもあるように、すべての人にとって必須ではない場合もあります。

本記事で解説したように、目的に応じた種目の選択が重要です。大胸筋全体の厚みを出したい場合はフラットベンチプレスを優先し、大胸筋上部を特に強化したい場合はインクラインベンチプレスを取り入れるのが効果的です。

また、適切な角度(20〜40度)、重量、回数を設定することで、より効率的に鍛えることができます。初心者は基本的なフォームを身につけるために軽めの重量から始め、段階的に負荷を増やしていくと良いでしょう。

トレーニングのバリエーションとしてダンベルやスミスマシンを活用することで、筋肉への刺激を変えながら成長を促進できます。インクラインベンチプレスを取り入れる際は、他の種目とのバランスを考えながら、継続的にトレーニングを行うことが大切です。