チェストプレスは、ほとんどのフィットネスジムにおいてあるトレーニングマシンで、女性の方や初心者の方、またご年配の方でも安全に利用することができます。
一方で、筋トレ愛好家にとっても、人気のトレーニングマシンで、大胸筋を始め、あらゆる筋肉を鍛えることができます。
そんなチェストプレスですが、「腕にしか効かないけど合ってる?」「肩が痛くなるからあまりやってない」などの悩みがある方も多いようです。
今回はチェストプレスは本来どこに効くべきなのかや、「腕にくる」「胸に効かない」などの悩みがある方のために、正しいトレーニング方法を現役パーソナルトレーナーの私が詳しく解説していきます。
目次
チェストプレスはどこに効く?
チェストプレスは、主に大胸筋を刺激する種目で、ベンチプレスやダンベルフライなどとは特殊で、押し切った時にも負荷が乗りやすい仕組みになっています。
そのため、大胸筋の中でも内側に効きやすい種目と言えるでしょう。
(中にはベンチプレスなどと同様の動きをするものもあるので、この限りではありません。)
また、肘関節や肩関節も動かすため、上腕三頭筋や、三角筋前部にも刺激が入る種目です。
チェストプレスは大胸筋に効かないと意味ない?
チェストプレスは主に大胸筋を鍛える種目であるため、胸に効かせないと意味がありません。
しかし、その一方で、「腕にくる」「肩に効く」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。先述したように、チェストプレスの動作では肘関節や肩関節を大きく動かすため、腕や肩が補助的に使われることは避けられません。しかし、胸に全く効かないようでは問題があります。
つまり、チェストプレスでは、大胸筋にどれだけ重点的に負荷をかけられるかが重要なポイントとなります。
チェストプレスで大胸筋に効かせる正しいやり方
チェストプレスがどこに効くかがわかったところで、実際にチェストプレスで大胸筋に効かせる正しいやり方について詳しく解説していきます。
やり方①:グリップが胸の高さになるように椅子をセットする
チェストプレスの椅子の高さの設定は、基本的には胸の位置にグリップがくるように設定します。ここがズレると後述するエラー動作にもつながりやすくなります。
やり方②:お尻と肩甲骨で支える
チェストプレスを行う際は、お尻と肩甲骨をシートにくっつけて支えます。それ以外の背中は胸を張る関係で、少し浮くような姿勢になります。
やり方③:肘の角度
肘の角度は、チェストプレスマシンの軌道に肘のラインが乗るように行います。
画像内の青線で示したように、脇が開いてしまい、肘の角度が上がってしまうと、力を伝えられない上に、肩関節に負担がかかってしまいます。
やり方④:胸を張りながら押す
押す前の姿勢も胸を張っておくのが基本的なフォームですが、押し込む際は、そこからさらに胸を張りながら押し込むようにします。
よくジムでチェストプレスを行っている人を見るとほとんどの方が、このやり方でできておらず「効いていないだろうな」と私自身感じています。
また、ここで伝えた「押しながら胸を張る」は大胸筋を鍛えるほとんどのトレーニングに共通して、効かせるためのポイントとなります。
実際に、クラシックボディビル世界チャンピオンの五味原さんに、胸に効かせるダンベルプルオーバーのやり方を伝授してもらった記事でも、同様のポイントを挙げていました。
肩が痛い・肩に効く人の特徴
チェストプレスで肩に効いてしまったり、痛めてしまう理由としては以下ができないためです。
- 胸を張れない
- 肩が上がってしまう
- 親指側で握り込んでしまっている
この3点は、「小指側で握り込むことで脇を閉じやすくなる」→「肩が上がらない」→「胸を張ることができる」というセットの動きとして改善することができます。
また、もし使用されるチェストプレスで、手のひらと手のひらが向かい合った「ニュートラルグリップ」で実施できるタイプであれば、簡単に脇を閉じて行うことができるため、そのやり方で行うこともお勧めします。
腕にくる人の特徴
チェストプレスで「腕にくる」と悩んでいる人は、肘関節の動きが優位になってしまっており、上腕三頭筋に効きやすいチェストプレスになっていると考えられます。
そのような方は、手幅が狭すぎることが考えられます。押す動作の際に前腕が肘に対して垂直になっているか、少し開き気味くらいの手幅にするのが良いでしょう。
また、肩が痛い人向けの対処方法として解説した「小指側で握って行う方法」ですが、実は上腕三頭筋には効きやすくなってしまうやり方なので、もし肩が痛くない人は、小指で握りすぎないほうが大胸筋に効かせやすいと言えます。
チェストプレスは何キロが目安?回数は?
チェストプレスを行う際の目安として、自分が15回が限界と感じる重さで行うのが目安となります。
チェストプレスは、ベンチプレスなどとの違いとして、座って丁寧に行い、より大胸筋を意識しやすい種目です。
そのため、効かせやすいように少し軽い重さで回数で追い込んでいくことをお勧めします。
重量が増えないと悩んでいる方へ
チェストプレスはそもそも高重量で行うというよりも回数で適切に追い込むべきです。もしこう重量に取り組めるマインドや体力があるのであれば、ベンチプレスなどのフリーウエイトで、取り組んだほうが高重量を扱いやすいです。
また後述するデメリット要素もあるため、重量を増やしすぎなくても問題ありません。
チェストプレスのデメリット
チェストプレスはマシンで行うトレーニングのため、動作を行う人間はマシンの動きに合わせて動作をすることになります。つまり、自分自身の本来の動きとは異なった動きになりやすいため、乱暴に高重量を行ったり、限界突破しすぎると不自然なフォームになりやすく、実は怪我を起こしやすいと言えるでしょう。
本来は「マシンは動きが決まっているから安全」「怪我をしづらい」などと言われますが、それは最初の軽い負荷の時のみと言えるでしょう。
よりレベルが上がってくると、それは少しずつデメリットになり得る可能性もあるので、注意が必要です。
ただ、最近ではバイオメカニズムで、人間の身体にあった動きをしてくれる最新型のチェストプレスもありますが、それであればフリーウエイトのベンチプレスやダンベルプレスで習得したほうがまだ自然な動きといえます。
もし大胸筋への刺激が足りないと感じる場合はチェストプレスだけで高みを目指すのではなく、他のフリーウエイトの種目なども取り組むようにしましょう。